全世界的にコロナ禍の今、ファッションの世界も様変わりしている。
オンラインで公開されたディオールのウインター 2021-2022 メンズ コレクションを紹介しよう。
■儀式用の服装に宿る贅を尽くした男性らしさ
メンズ アーティスティック ディレクター、キム・ジョーンズが着想を得たのは、儀式用の服装に宿る贅を尽くした男性らしさ。刺繍や装飾があしらわれたユニフォーム、とりわけフランス芸術アカデミーのコスチュームに着想を得たスタイルをクチュールの男性的な解釈として提示している。
それは、今もなおダイナミックに息づいている過去とのつながり。オートクチュール同様、今と昔をつなぐコスチュームは、歴史やヘリテージへと通ずる窓だという。
■アーティスト、ピーター・ドイグとコラボレーション
今コレクションで、キム・ジョーンズとディオールはスコットランド出身のアーティスト、ピーター・ドイグとコラボレーション。クリスチャン・ディオールが夢を現実に書き換えたように、キム・ジョーンズもまた、ピーター・ドイグの作品をファッションに書き換えることで、創設者の偉業をなぞった。
ドイグは自らモチーフを考えただけでなく、スティーブン・ジョーンズが手掛けたウールフェルトハットに、自らの手で自身の作品や記憶、メゾン ディオールとのつながりにインスピレーションを得た魅惑的なハンドペイントデザインを描いていった。
また、アートとファッションの対話の一環として、 ドイグは今回ディオールのために 2 つの動物をモチーフとしたエンブレムを特別に制作した。
ひとつはクリスチャン・ディオールの愛犬・ボビーを思わせるもの。もうひとつのライオンは、ドイグの絵画のキャラクターと、1949年に当時ディオールのアトリエにいたピエール・カルダンがムッシュ・ディオールのためにデザインした仮面舞踏会用コスチュームを同時に彷彿とさせるものだ。
キム・ジョーンズとピーター・ドイグとのコラボレーションは、デジタルショーの舞台演出にも発展した。
ショーの舞台はひとつのアート作品となり、ドイグによって青空のインスタレーションが誕生。音響システムが積み重ねられた演出は、『SPEAKER /GIRL』(2015年)をはじめ、ドイグの絵画から取り入れたものだ。
■セレブリティがオンラインで観賞
1月22日(金)日本時間22:00から公式サイトで公開されたこのコレクション。カイランド・モリスやケイト・モス、ライラ・モスといったセレブリティが最新のコレクションを身にまとい、ショーを視聴した。
ディオール 公式サイトでは、このコレクションの動画を見ることができる。ステイホームの自粛ムードを華やかな気持ちに変えてくれそうだ。
ディオール公式サイト:http://bit.ly/3plfDSY
(冨田格)