仕事は一人ではできないからこそ、周囲の人とのコミュニケーションは重要だ。
人材育成サービスを提供するラーニングエージェンシーは、ビジネスパーソン1,087人を対象に「仕事と感謝に関する調査」を実施した。興味深い傾向が見えてくるこの調査結果を、3つの観点からご紹介しよう。
■役職で変化する感謝を伝えたい相手
「いま、誰に最も感謝を伝えたいですか?」という質問では、「上司」が最多で32.9%、2番目に多かったのは「同僚」で26.8%となった(図1)。その他「先輩」が20.4%となり、目上の人への感謝を伝えたい人が約半数となっている。
回答者を階層別に分けて結果を見ると、一般社員と主任・係長クラスでは「同僚」が30%前後だったのに対し、課長・部長クラスになると「同僚」と回答した割合は12.8%にとどまった(図2)。
■感謝を伝えることの重要性
「日頃職場の人に感謝を伝えているか」を聞いた質問では、86.2%が感謝を伝えていると回答し、多くの人が日頃から感謝を伝えていることがわかった(図3)。
一方頻度を見ると、「日々」感謝を伝えている人は約3割にとどまり、「たまに」感謝を伝えている人が半数以上を占めている。
また、感謝を「伝える頻度」と「伝えられる頻度」を合わせて見たところ、日々感謝を伝えている人の91.7%は、相手からも感謝を伝えられていることが明らかになった(図4)。
反対に、全く感謝を伝えていない人は、68.4%が相手からも感謝を伝えられていない結果となった。
■日々感謝を伝えられている人ほど仕事の充実度が高い
次に、仕事や組織へのポジティブな印象を問う6つの項目で、自身に当てはまるものを全て選択してもらった(図5)。回答数が多いほど、仕事や組織に対してポジティブな印象を持ち、充実していると言える。
さらに、日頃感謝を伝えられている人と伝えられていない人で、前問(図5)で当てはまる数に違いがあるかを調べた。
日々感謝を伝えられている人ほど当てはまると回答した数が多く、全く伝えられていない人ほど当てはまるものが少ない傾向が見えた(図6)。
また、前問(図5)の回答数が3個以上の割合を比べると、日々感謝を伝えられている人は47.5%、全く伝えられていない人は20.0%と半分以下となり、「感謝されること」と「仕事の充実度」には関連性があると推測できる。
■感謝の伝え方を見直してみる
変化の激しい今の時代において、多くの人や組織が、自身のものの見方や周囲との関係性の変化を必要とする「適応課題」に直面している。これは、人や組織の関係性の中で生じる、既存の方法や個人の技量だけで一方的に解決できない課題を指すが、「感謝」はその解決のヒントとなるかもしれない。
「相手に伝わる感謝」ができているかどうかは大切なポイント。感謝を伝えているつもりでも、相手に伝わっていなければ意味がない。コロナ禍で働き方が変わった場合、今までと同じ伝え方では相手に伝わらない、ということも考えうる。
勤労感謝の日を良い機会として、改めて「日頃感謝を伝えることができているか」を見直すとともに、相手に伝わる感謝の伝え方を考えてみてはいかがだろうか。
調査時期:2020年10月20日~11月4日
調査方法:Webでのアンケート調査
ラーニングエージェンシー:www.learningagency.co.jp
(冨田格)