小規模映画館をコロナウィルス感染拡大の危機から守る「ミニシアター・エイド基金」

新型コロナウィルス感染拡大により大きな打撃を受けているエンターテインメント業界。特に緊急事態宣言が発出され、映画館が軒並み休業せざるを得なくなっている。世界的に見ても、映画館が休業している国は多く、新作映画の公開延期や、国際的映画祭の中止など、映画界を取り巻く状況は厳しさを増す一方だ。

そんな映画産業を支援するために、2つのクラウドファンディング・プロジェクトが開始されているので、ご紹介しよう。

新型コロナウイルスの感染拡大、それに伴う自粛要請によって、閉館の危機に直面しているのが「ミニシアター」と呼ばれるインディペンデントの映画館だ。収益減少は今年の2月から始まり、月末には観客ゼロの回が出てしまう劇場や休館に踏み切る劇場が続出した。ミニシアターを立ち上げて運営するには莫大な予算が必要であり、長い時間をかけて地域に文化を育んできた場所という意味においても、一度失われてしまえば回復することは容易ではない。

 

国際的に活躍する深田晃司監督・濱口竜介監督が発起人となり、MOTION GALLERY代表·大高健志など有志メンバーで立ち上げたのは、ミニシアター・エイド基金だ。ミニシアターは、経営は小規模だが、「多様性」という観点から見て日本文化への貢献度は非常に大きなもの。 現時点で、全国のミニシアター67劇場の参加希望があり、また、多くの映画監督からの賛同と参加の意思表明がある。署名活動を通じて政府への提言を進める「SAVE the CINEMA(https://bit.ly/2ye021S)」とも連携して、映画業界を支える取り組みだ。
▼プロジェクトページ https://motion-gallery.net/projects/minitheateraid

 

 

日本でも90年代にブームとなったドライビングシアター。このシステムは、不特定多数の人との接触を避けることができ、ソーシャルディスタンスを保ちながら安全に映画体験を共有できる現在国内で体験する方法がほぼない。

シアタープロデュースチーム「Do it Theater」は、本来であれば、世の中を勇気付けるべきエンターテインメント業界がその力を発揮できない状況だからこそ実現可能で、多くの人に夢を与え、同時に世の中を応援するシステムとして、ドライブインシアターを復活させる。第1回は大磯ロングビーチ第一駐車場を会場に、5月以降の開催を予定。詳細は後日、昨今の社会状況に応じて、プロジェクトページ上で4月下旬にアナウンスされる予定だ。

期間:2020年8月7日23:59まで
目標金額:2,500,000円
リターン:1,000円-5,000円
資金の使い方:①ドライブインシアター2020の運営資金
②エンターテインメント業界、新型コロナウイルス対策基金への寄付
第一回寄付予定先〜ミニシアター・エイド基金 https://minitheater-aid.org
世界保健機関(WHO)および国連財団による「COVID-19連帯対応基金(COVID-19 Response Fund)」
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/donate
プレゼンター:Do it Theater(株式会社ハッチ)https://motion-gallery.net/projects/driveintheater2020
プロジェクトページ:https://motion-gallery.net/projects/driveintheater2020
https://www.facebook.com/doittheater/(FB)

多様性がない文化は決して豊かであるとはいえない。大手シネコンでは上映されない規模は小さくとも良質な作品を上映してくれるミニシアターは、まさに映画の多様性を象徴する存在。そして映画館というスタイルに多様性を持たせようとするドライブインシアターの復活。コロナのために、文化の多様性を手放してはならない、という強い意志を感じるこのプロジェクトには、スタート当初から多くの賛同者が集まり、大きなムーブメントになろうとしている。

(冨田格)