日本には多くの町や村があり、どれも魅力的で面白い。しかし、行ってみないとなかなか分からないのが現状。
そこで、その面白さを知る良いきっかけとなるイベントが、2019年11月30日と12月1日の二日間に渡って開催された「町イチ!村イチ!2019」だ。
開会式に登場したのは、今や世界中で大人気のくまもんを筆頭に、各地からやって来たゆるキャラたち。彼らに囲まれるようにして、全国町村会長の荒木氏が「今まで知らなかった観光資源や特産品を知る機会となってほしい」と挨拶。日本を、町村から元気にしようという意気込みだ。
■北海道から沖縄まで、全国からの逸品
会場は北海道、東北、関東などのエリアごとに分かれており、ホールいっぱいにブースが並ぶ。野菜や果物などの生鮮食品、缶詰などの加工食品、お菓子やお茶、伝統工芸品など各町村がアピールしたい逸品が並んでいる。
■新鮮な魚を手早く加工した酒のおつまみにもぴったりな逸品
ここから少し、ブースの中からいくつか選んで紹介したい。
まずは島の多い鹿児島県から。東シナ海や八代海に囲まれた島、長島町はすぐ近くに天草諸島もあり、豊かな漁場が美味しい海の幸をもたらしてくれる。
その長島の美味しい魚介類を手軽に食べられるようにしたものが「夢一水産」の加工品。新鮮な魚を手早く加工しているため、臭みもなく魚介類が苦手な人にもお勧めしたくなる。酒のおつまみにもぴったりな逸品だ。
■ハリウッドでも人気の化粧筆
広島県の熊野町は、日本一の生産量を誇る筆の町。書画用の筆はもちろんのこと、近年では化粧用の筆も注目されている。
ハリウッドの女優たちを彩る、メイクアップアーティストたちが愛用しているという話も聞いた。大切な人へのプレゼントとしても喜ばれる逸品を、ぜひ一度手にしてみてほしい。
■家の猫に欲しい「猫ちぐら」
新潟県の関川村は山形県との県境に位置し、「岩船産コシヒカリ」が美味しいと評判の町。米作りが盛んなことから発展した藁細工で、猫たちのお気に入りのハウス「猫ちぐら」が出来上がった。
ひとつひとつ手作りの猫ちぐらは、実演ブースで作っているところを見せてもらった。手間のかかる、しかし快適そうなそれは、インテリアとしても美しい形をしている。
■国の重要な伝統産業「からむし織」の昭和村
福島県の奥会津地方に位置する昭和村。ここでは多年草の「からむし」を栽培し、織物にする伝統産業がある。
植物の繊維で織られる織物のため、非常に軽くて丈夫、通気性や吸湿性にも富んでいるという「からむし織」は、継承者を育てる努力も怠らない。
■全国の美味しいもの「町イチ!村イチ!食堂」
会場の中央には「町イチ!村イチ!食堂」があり、各地の美味しいものがその場で作られ食べられるという、大人気のブースとなっていた。
鳥取県の大山の麓で造られている「大山Gビール」は、「大山ハム」のソーセージとともに味わいたい美味しい一杯。
「からむし織」の昭和村からは、「喰丸小SCHOLAのぶっかけそば」。十割の蕎麦は香りがとてもよく、歯応えがたまらない。
他にも、殿様しか食べられなかったと言う貴重な筍を使った三島村(鹿児島)「大名筍御飯」や、雉子肉を使った珍しい愛媛県鬼北町「きじ肉入りメンチカツ」、早川町(山梨)からは特産のワインがずらりと並んで賑わっていた。
■伝統工芸実演・体験
メインのホールの外には、伝統工芸の実演や体験ができるコーナーがあった。
絵付け体験では、柳津町(福島)の赤べこ、有名なこけしである「遠刈田こけし(宮城)」、有田町(佐賀)の有田焼などの伝統工芸がずらり。
三宅町(奈良)のグローブ作りを見たり、田原本町(奈良)のミニ畳作り体験などは、日本の伝統産業を学べる貴重な場である。
地元の人の声を直接聞き、特産やアピールポイントを知ることができるこのイベントは今回で5回目。まだまだ知らない日本を楽しめるイベントだった。
(田原昌)