屏風絵や絵巻物など、日本の重要な文化財。
どうしても劣化してしまったり、オリジナルを間近で鑑賞することができないなどへの解決策として、キヤノンの「綴プロジェクト」がある。
キヤノンは、オリジナル文化財の保存と高精細複製品の活用を目的に、日本の貴重な文化財の高精細複製品を制作して寄贈する「綴プロジェクト」(正式名称:文化財未来継承プロジェクト)を2007年より推進している。
今回、オリジナル文化財に限りなく近い高精細複製品の制作を実現する、キヤノンの「技術」を分かりやすく紹介する動画が公開された。
動画:https://global.canon/ja/v-square/76.html
■映像の見どころ
「綴プロジェクト」では、オリジナル文化財の忠実な再現と、オリジナル文化財への負担軽減の両立を常に追求してきた。今回の動画では、高精細複製品制作の鍵となる、入力、色合わせ、出力の各工程を、技術的な解説も交えながら紹介していく。
(1)入力
「EOS 5D Mark IV」による多分割撮影により、600dpiの高解像度データを取得し、オリジナル文化財が持つ微妙な風合い、質感を忠実に再現。
(2)色合わせ
取得した画像データにキヤノン独自のカラーマッチングシステムで瞬時に画像処理を施し、さらに色再現性に優れたプリンターを撮影現場に持ち込み、出力。
(3)出力
大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF PRO-4000」が持つ高い色再現力により、経年変化による文化財の微妙な色合い、質感をオリジナルと遜色なく再現。また、使用する和紙や絹本も「綴プロジェクト」用に独自開発した。
■綴プロジェクトとは
オリジナル文化財の保存と高精細複製品の活用を目的として、京都文化協会が主催し、キヤノンが共催して推進している社会貢献活動。
キヤノンの入力、画像処理、出力に至る先進のデジタル技術と、京都伝統工芸の匠の技との融合により、屏風や襖絵、絵巻物など、古くから日本に伝わる貴重な文化財の高精細な複製品を制作して寄贈している。
海外に渡る以前の所有者などに寄贈する「海外に渡った日本の文化財」と、教育現場で生きた教材として活用する「歴史をひもとく文化財」の2つのテーマのもと、毎年文化財を選定している。
過去には国宝「風神雷神図屏風」(俵屋宗達筆)や、国宝「松林図屏風」(長谷川等伯筆)など、日本を代表する文化財の高精細複製品の制作を手がけている。
■京都で綴作品が見られる!
現在、京都国立博物館で「京博寄託の名宝」展が開催されていおり、「風神雷神図屏風」の高精細複製品も展示されている。
「京博寄託の名宝」展
会場:京都国立博物館(京都府京都市)
会期:開催中~9月16日(月・祝)まで
HP:https://www.kyohaku.go.jp/jp/project/icom_2019.html
我々日本人にとって大切な文化財が保護され、気軽に見られるためにも、今後の活躍を期待したいプロジェクトだ。
綴プロジェクト:https://global.canon/ja/tsuzuri/
(田原昌)