但馬の小京都 出石で名物「皿そば」をいただく

「出石(いずし)そば」は江戸時代中期の宝永3(1706)年、出石藩主松平氏と信州上田藩の仙石氏の国替えの際、仙石氏とともに来た信州そば職人の技法が在来のそば打ちの技術に加えられ誕生した。

国の伝統的工芸品指定の透きとおるような白を特徴とする白磁の「出石焼」の白地の小皿に盛る様式が確立し、出石皿そばとして定着。

現在、出石は約50軒ものそば屋が並ぶ関西屈指のそば処として知られている。

標準的な出石皿そばは、一人前で皿そば五枚、薬味と徳利に入った出汁でいただく。薬味はねぎ、大根おろし、わさび、玉子、とろろなど。

挽きたて・打ちたて・茹がきたての「三たて」による素朴なコシと風味が食欲をそそる。

築100年を超える古民家を改装した昔懐かしい家屋で本格手打ち出石皿そばをいただける「出石皿そば たくみや」にお邪魔する。

「うなぎの寝床」と称される出石ならではの奥に長い造りの店舗は、土間に囲炉裏の大きなテーブル席と小上がりの座敷に庭に面した窓際まで座卓が一列に並ぶ。

着席するとすぐにそば茶が。目当ての皿そばをオーダーし、しばらくすると薬味と出汁の入った徳利が並べられ、皿そば5枚が到着すると目の前のテーブルはいっぱいに。

まずは蕎麦の香りを味わい、出汁の風味を感じ、薬味を徐々に加えつついただく。

時間に余裕があれば「出石皿そば巡り」を試したい。

まずはいずし観光センター内で「出石皿そば巡り巾着セット」を購入。巾着の中に永楽通宝が3枚入っており、永楽通宝1枚で出石皿そば3皿がいただける。3店舗で合計9皿、それぞれの蕎麦や出汁、薬味の味比べが楽しい。

出石ちりめん製の巾着はそば巡りのあともちょっとした小物入れとして利用できるのが嬉しい。また巾着の提示で近隣施設での入館料割引サービス等が利用できるので散策中は持ち歩くのが吉。

出石町では10月15日に秋まつり、11月3日にお城まつり、11月11日・12日に出石藩きもの祭りと秋のイベントが目白押し。

11月15日・16日には豊岡産「コウノトリの舞」ブランド使用の新そばで出石皿そばを提供する新そばまつりを開催。香り高い出石の新そばを味わいに足を運んではいかがだろう。

 

【出石皿そば たくみや】

住所:兵庫県豊岡市出石町魚屋128

駐車場:3台分あり

定休日:水曜日

出石皿そば たくみや 公式サイト:http://izushi-takumiya.com/

 

(小椚萌香)