村上春樹、太宰治、川端康成など100人の文体で綴る「カップ焼きそば」の作り方?!

かやくを入れ、お湯を注いで3分待つ。いつものカップ焼きそばの作り方を、あの人が書いたら?ツイッターから広がった面白い文章が、本になってさらに大ブームとなっている。

この本は「もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」をテーマに、村上春樹や太宰治、三島由紀夫、川端康成といった文豪や星野源、小沢健二といった人気アーティストなど100人になりきり、100パターンの“カップ焼きそばの作り方”を掲載。発売2カ月で異例の4刷10万部を突破するほどの人気ぶりだ。

カップ焼きそばの文体摸写は、昨年、著者の菊池良氏がツイッターに投稿した「もしも村上春樹がカップ焼きそばの容器にある『作り方』を書いたら。」が、3万件以上もリツイートされたことから火がついた。その投稿を見た多くのツイッターユーザーから「もしも○○がカップ焼きそばの作り方を書いたら」という文体摸写が次々と投稿され、糸井重里氏本人までもが「糸井重里が焼きそばの作り方を書いたら」を投稿。著名人も参加するほどまでに広がり、ネット上でブームとなったことから、今回の書籍化に至った。書籍化にあたっては、文豪以外にも新たに「週刊文春」や「迷惑メール」などの文体を加えてすべて新規書き下ろし、表紙や本文イラストは『うつヌケ』(KADOKAWA)の著者でパロディマンガの第一人者・田中圭一氏が担当した。

発売後は、文芸に明るい書店員にも支持され、店頭でも大きく展開。元ネタとなった文豪の小説や、カップ焼きそばと並べて展開されるなど、工夫を凝らしている店舗も多数あり、従来のネット上のファンのみならず、新たな読者を開拓し、実店舗でも盛り上がりをみせているようだ。文芸書が多く売れる大型の店舗でもよく売れており、ランキング1位となった。

自分の知る文豪がカップ焼きそば?と頭をひねってしまうが、気になって読みたくなる。新しい本のスタイルなのかもしれない。

■タイトルの一部
村上春樹「1973年のカップ焼きそば」
田山花袋「カップ焼きそばを蒲団にこぼした」
村上龍「限りなく透明に近いお湯」
相田みつを「カップやきそばだもの」
星野源「焼きそば恥だがカップ立つ」
週刊文春「カップ焼きそば 真昼間の“怪しい湯切り”撮った」など(順不同)

(田原昌)