日本で一番親しみのあるビールと言えば、透明な黄金色に輝く「ピルスナー」。
ピルスナータイプのビールが初めて作られたのが、チェコのPilzeň(ピルゼン)という街である。ピルゼンのビール、という事で「Pilsner(ピルスナー)」というわけだ。
1842年にそのピルゼンで誕生したビールこそが、世界的にも有名な「Pilsner Urquell(ピルスナー・ウルケル)」であり、ドイツ語で「ピルスナーの元祖」という意味だ。
ちなみにチェコ語でも「Plzeňský Prazdroj(ピルゼンスキー・プラズドロイ)」と言って、同じことを表している。
世界中にファンを持つウルケル。
この時期だけ味わえる、特別なウルケルが少しだけ世に出されると聞き、提供している店を探しに行ってみた。
どの店でも普段より若干高めの値段を設定しているようだ。それでも500mlで200円程度なのだから、チェコはビール天国である。
メニューにはないがポスターには「Ne Filtrovaným」と書いており、それはノンフィルター、いわゆる無濾過のビールの事だった。
世界で最も有名なホップの産地・Žatec(ジャテツ)。日本ではドイツ語読みの「ザーツ産ホップ」として有名なここのホップは、毎年8~9月にかけて収穫される。
生のホップを投入し、夏に仕込んだ新しいビールが出回るこの時期に、一部無濾過のビールが流通するのだ。
そのため、今年の分を飲んでしまったらおしまい、という貴重なもの。
また酵母を取り除いていないので、ものすごく足が速い。そのせいでメーカーが認めた店にしか出回らないのだそうだ。
とてもクリアでスッキリ飲めて、延々お代わりをしてしまいそうな美味しいビールだった。
(田原昌)