テクノロジーがもたらすはずの「幸せ」「希望」は今どこに?メディアアーティスト・スプツニ子!が個展を開催

マルチメディアアーティスト&映像作家としても知られるスプツニ子!(Sputniko!)氏。

天王洲のギャラリー「KOTARO NUKAGA」では、11月2日(土)~2025年1月25日(土)まで、スプツニ子!氏による個展「Can I Believe in a Fortunate Tomorrow? ー幸せな明日を信じてもよい?ー」を開催する。

幅広いテーマを取り扱うマルチメディアアーティスト

スプツニ子!氏は、バイオテクノロジー・ジェンダー・異なる生体間のコミュニケーションといった幅広いテーマを取り扱うマルチメディアアーティスト&映像作家だ。

科学やテクノロジーを駆使して現代社会における社会的価値観を掘り下げ、鑑賞者に向けて次々に登場する新しいテクノロジーの文化的・社会的・倫理的影響について問いを投げかける。

作品はこれまでに、ニューヨーク近代美術館・ヴィクトリア&アルバート博物館・森美術館などにて展示され、現在は、東京藝術大学准教授を務める。

テクノロジーと共存する未来について3シリーズで構成

今回の同氏の個展は、「かつてわたしたちが夢見た、テクノロジーと共存する未来」の現在地はどこなのか?をテーマに、未発表の新作を含む3シリーズの作品によって構成する。その内容を紹介しよう。

Drone in Search for a Four-Leaf Clover

昨年金沢21世紀美術館で開催された「DXP―次のインターフェースへ」展で展示され、現在イギリスのデジタルアート・アワードのひとつであるルーメン・プライズにもノミネートされている国際的に高評価を得ている作品。

群生するクローバーの上をドローンがゆっくりと飛行する映像をAIが解析し、「幸せの象徴」とされてきた四つ葉のクローバーを見つけ出すという映像作品だ。

テクノロジーの精度とスピードには驚くべきものがあるが、その進歩には違和感を覚える部分もあるのではないか、ということを問いかける。

Can I Believe in a Fortunate Tomorrow?

彩雲=太陽近くの雲が虹のように七色を帯びて見える現象を、AIによってシミュレートした映像作品。

映し出される映像は彩雲そのもので、見る人を幸せにする一方、映像自体はAIによるシミュレーションで、ある種のフェイク映像ともいえ、テクノロジーが示す未来の両義性が暗示される。

Tech Bro Debates Humanity

2つのモニターに、様々な人類の課題について議論をし続ける2人の男性が映し出される。両人は、スプツニ子!氏の容姿・声音を生成AIモデルによって白人男性化し、さらにTech Bro的思考を憑依させたアバターだ。その議論の内容も、全てAIによって生成される。

インターネット・ソーシャルメディアの発展による効率性や利便性は、本当に私たちの幸せに繋がっているのか?テクノロジーは私たちを解放するのか、それとも新たな束縛となるのか?私たちは、まだ未来を信じることができるのか?同展を鑑賞して、スプツニ子!氏とともに考えてみよう。

Can I Believe in a Fortunate Tomorrow? ー幸せな明日を信じてもよい?ー
アーティスト:スプツニ子!(Sputniko!)
会期:11月2日(土)~2025年1月25日(土)
会場:KOTARO NUKAGA 天王洲
所在地:東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA Art Complex II 1F
開廊時間:火曜~土曜の11時~18時 ※日曜・月曜・祝日休廊、11月10日(日)は開廊
公式サイト:https://kotaronukaga.com/news/8274/

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000048.000071871.html

(高野晃彰)