英国のラグジュアリーブランド「dunhill(ダンヒル)」が2023年春夏コレクションを発表した。クリエイティブ・ディレクターのマーク・ウェストンは、メゾンが長い歴史で培ってきたテーラリング、機能性、革新性を振り返りながら、古典主義とシンプルさ、コンテンポラリーの間の感覚を研ぎ澄ませたワードローブを提案する。
テーラリングの誇りと、現代のラグジュアリーを提案
ダンヒルは、1893年にアルフレッド・ダンヒルによってロンドンで設立。スタイル、革新性、卓越性を備えたデザインを追求し、ロンドン、ニューヨーク、東京、大阪、上海、香港、ドバイなど、世界16カ国に90以上の店舗を持つ、英国を代表するラグジュアリーブランドだ。
2023年春夏コレクションについて、クリエイティブ・ディレクターのマーク・ウェストンはこう説明する。
「今シーズンのコレクションには親しみやすさがあり、お客様がどのように見られ、どのように感じたいかを理解しています。男性は自身のユニフォームを持っており、何が似合うのかを知っていて、それらを繰り返し着用しています。テーラリングはその典型的な例ですが、よく考えてみると、多くのルールやアイテムごとの雰囲気があり、私たちの個性をさりげなく表現しているのです」
さらに、「テーラリングは、自身の趣向や表現することに加え、人々に会うという目的を与えるものです。セレモニー、それは根本的なものであり、なくてはならない存在です。私たちは、魅了されたいと思うと同時に、他人を魅了したいのです」と続ける。
2023年春夏コレクションの注目アイテム&カラー
ダンヒル2023年春夏コレクション全体を貫くのは、男性らしさとその進化、そしてダンヒルが誇る博識なイギリス人気質。これまで制限的だと思われてきたフォーマルなテーラリングは、破壊され、解放され、そして分解され、クラシックなシルエットは、超軽量で革新的な素材によって進化。動きと流れるような美しさがキーとなっている。
ダンヒルのアーカイブから着想した今シーズンの「アンブレラコート」は、1900年代における重衣料の完全防水の実験から生まれたもので、防水性と防シワ効果を兼ね備えた超軽量加工のウールシルクで再デザイン。このコートには、過去に影響を受けながら現代的なデザインに落とし込む、ダンヒルの哲学が込められている。
さらに、ダンヒルの伝統をさらに研究した、新しいレザーコレクション「1893 ハーネス」が登場。フルグレインのしなやかなレザーを使用したマルチストラップのトートバッグ「1893 ハーネス」は、馬車用のレザーグッズを製造していたダンヒルの歴史にインスパイア。
美しい細工とエレガントな金具、そして洗練された雰囲気が漂う2023年春夏のシルエットで、新しいハウスファミリーに仲間入りした。
また、ダンヒルの誕生以来、ワードローブの定番となっているレザージャケットやカーコート、シャープなボンバージャケットの下には、軽量なシルクメリノニットをレイヤードするスタイリングを提案。レザーのボクシーなシェイプは、動きやすさと快適性を兼ね備えている。
マーク・ウェストンが提案する2023年春夏コレクションのカラーパレットは、落ち着いた色調でありながら退廃的で、ライトグレーはオフホワイトに溶け込み、ゴールデンオーカーや脱色されたライラックが透けて見える。
ブラック、ブラウン、くすんだイエローは、車のインテリアにインスパイアされ、官能的な雰囲気を醸し出す。ベージュ、サンド、サマーキャメルは、気だるい夏の日を連想させる色調となっている。
トラディショナルとコンテンポラリーの間の緊張感、革新と洗練、クラフトマンシップと機能性というオルタナティブ(二者択一)の境界線を悠々と超えるダンヒル2023年春夏コレクション。創造から生み出されるのは、英国生まれの誇りとラグジュアリーのさらなる深化だ。
ダンヒル公式サイト: www.dunhill.com
(MK)