江戸の頃、「大山詣り(おおやままいり)」として職人達が詣でた、神奈川県の「大山阿夫利(おおやまあふり)神社」。首都圏から日帰りでも登れるコースなので、良い景色を楽しんでみたいという人にはオススメだ。
伊勢原駅からバスに乗り、終点の「大山ケーブル」で降りる。途中には、水が豊富な大山ならではの豆腐の店が多くあり、また大山詣りの宿坊や旅館も立ち並んでいた。
宿に泊まり、朝からのんびりと登るのも面白そうだ。
このバス停からケーブルカーの駅までは、長い階段「こま参道」が続く。その参道の両脇にはお土産屋ばかりでなく、豆腐料理を提供する店や宿坊がある。
そして、この参道の名前の由来となった「大山こま」の店も。家内安全・金運・商売繁盛の縁起物として人気の特産品だ。お土産にはぜひ手に入れておきたい。
さて、登るのが大変という人はケーブルカーで一気に登ってしまう事もできるが、ここは頑張って登ってみよう。
「女坂」と「男坂」の二つがあり、「女坂」はやや傾斜が緩めで楽なコースになっていて、「男坂」は当然傾斜が急で大変なコースとなる。しかし、女坂の方も最後の方にはかなりきつい階段になるので、どちらを選ぶかは気分次第というところだ。
男坂は、登り始めが壁のような切り立った階段なので、いきなり心が打ち砕かれそうになる。しかし、山を流れる川からの風がとても気持ちよく、所々で休憩を挟めば問題なく登れてしまう。
大山は「雨降山」とも言われるほどよく雨が降る山で、常に湿っていて緑がとても豊かだ。苔もまた美しい。
そんな風にして緑を楽しみながら登ること約40分、神社の境内にたどり着いた。
石段を登り、大きな鳥居をくぐると、目の前に現れたのが「大山阿夫利神社下社」である。創建はなんと紀元前97年と言われ、古の頃から信奉されてきた山なのだということを知った。
なお、本社は山頂にあり、ここからさらに1時間はかかるという。
お参りを済ませたら、下社の脇にある門から中に入ってみよう。
そこにはこんこんと湧き出す水があり、山の中腹にあって驚くほど水量が豊富だ。改めて「雨降山」であることを再認識する。これは、ペットボトルなどに汲んで下り道で飲むといいかもしれない。
神社から見る景色は最高だ!
手前には伊勢原市の街並み、その奥に広がるのは相模湾。やや左手には、天気が良ければ鎌倉や江ノ島だって見える。「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」に二つ星をもらった景色だ。
苦労して山を登った後に見る、美しい景色。紅葉の時期も、きっと素晴らしいに違いない。
(田原昌)