焼き物が放つ“祈りの輝き”。京都・東寺で春の特別展示「陶彩画展 2025」開催中

京都の世界遺産・東寺にて、唯一無二の焼き物絵画「陶彩画」の展示会が開催中。開催は5月11日(日)まで。場所は東寺境内の食堂(じきどう)で、入場は無料だ。

出展作家は、佐賀県を拠点とする草場一壽氏。佐賀の有田焼の技術を絵画表現へと昇華させた「陶彩画」は、焼き物とは思えない色彩と立体感を宿す芸術作品として注目されている。

東寺での開催は7回目。新作から代表作までを公開

展示会では、昨年発表された新シリーズ「銀河」をはじめ、四神や龍、虎、菩薩といった象徴的なモチーフの作品が並ぶ。

中でも、天と地を結ぶ存在として鳳凰が描かれた『銀河の扉』や、東寺で初披露となる『麒麟』など、色彩の深みと筆致の繊細さが際立つ作品が来場者の目を引いている。

陶彩画『銀河の扉』

また、歴代の「龍」作品や「虎」などの力強い作品群も並び、東寺の荘厳な空間との調和が、陶彩画の魅力を一層引き立てている。会場では僧侶の読経が響くこともあり、静謐な空気の中で作品と向き合える点も本展ならではだ。

何層にも焼成された、唯一無二の技法

草場氏の陶彩画は、最大15回にもおよぶ窯入れを経て完成される。光の角度で色合いが変化し、観る者の視点によって表情が移ろうのが特徴だ。純金を使用した装飾や、0.1mmの細い線を描く技術など、焼き物の常識を覆す精緻な工程が凝縮されている。

陶彩画『弥勒菩薩』

描かれるのは、神話の神獣や仏、日本の自然といった“祈り”にまつわるモチーフたち。美術としての美しさだけでなく、鑑賞することで心が安らぐような精神性も宿している。

京都・春の名所で、焼き物の芸術に触れる

会場周辺には、五重塔や桜、そして東寺にちなんだフォトスポットも登場。アクリルキーホルダーなどの新商品も販売されており、作品を鑑賞した後のお土産探しも楽しめる。

焼き物の域を超えた表現と、日本のものづくりの粋に触れられる特別展示会。春の京都を訪れる機会に、立ち寄ってみてはいかがだろうか。

世界遺産 東寺 特別展示会 2025 草場一壽 陶彩画展
会期:開催中〜5月11日(日)※会期中無休
時間:8:30〜16:00
会場:真言宗総本山 東寺境内 食堂(じきどう)
所在地:京都府京都市南区九条町1番地
入場料:無料

イベント詳細:https://kusaba-kazuhisa.com/post-event/13225/

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000090045.html

(山之内渉)