福岡県春日市にある弥生時代の遺跡「須玖岡本遺跡」にて3月、市の文化財技師による同遺跡の墳墓・青銅器生産の解説が行われる。
奴国の王都と推測され、昨年発掘した甕棺墓が話題になった同遺跡。この度の説明会は、歴史に興味がある人にとって垂涎の的となるだろう。
須玖遺跡群の中核をなす須玖岡本遺跡
今から約1,800~2,000年前の福岡平野一帯には、奴国(なこく)と呼ばれる有力な国があったとされる。中国の歴史書『後漢書』東夷伝には、委奴国王(わのなのこくおう)が後漢の皇帝から金印を授かったことが記されている。
それが江戸時代後期に福岡市の志賀島で発見された、歴史の教科書に記載される国宝指定の金印「漢委奴国王」だ。
そんな奴国最大級の遺跡で、さらに王都と推測されるのが春日市の「須玖遺跡群」。そして、その中核的な遺跡が「須玖岡本遺跡」だ。
同遺跡の王族墓エリアで、昨年の10月末から調査を続けている甕棺墓の現地説明会が、2月22日(土)の10時~12時に行われる。場所は、須玖岡本遺跡岡本地区28次調査区域だが、雨天の場合は中止となるので注意しよう。
さらに、市職員が語る「ここまでわかった須玖岡本遺跡!!」を銘打ったイベントを、3月8日(土)13時30分~15時30分に、奴国の丘歴史資料館研修室で開催する。
これまでの発掘調査や展示に携わってきた市の文化財技師が、同遺跡の墳墓や青銅器生産を中心に解説。こちらは、申込先着順で定員40人。申込みは、3月7日(金)までに同資料館宛に、電話・Eメールなどで行う。
甕棺に塗られた赤と黒は死者に対する儀礼
「須玖岡本遺跡」の王族墓エリアで発掘した甕棺墓からは、残念ながら副葬品の出土はなかった。しかし、緻密な調査を行ったところ、2つの大甕を合わせた上甕・頭位側だけに赤く塗られた痕跡があり、しかも上甕の埋め戻しの際には、事前に用意した黒褐色土を撒いたことが判明した。赤と黒は対になるもので、弥生人の死者に対する何らかの儀礼を示していると思われる。
王墓の発見に至った経緯や、発掘された副葬品などについて『市報かすが』2月1日号の特集記事として掲載し、市ウェブサイトからも見ることができる。
「須玖岡本遺跡」について興味がある人、現地説明会・資料館でのイベントに参加希望の人で、前もっての情報・知識を得たい人は熟読しておくとよいだろう。
須玖岡本遺跡 甕棺墓現地説明会
開催日時:2月22日(土)10時~12時 ※雨天中止
開催場所:須玖岡本遺跡岡本地区28次調査区域
所在地:福岡県春日市岡本7-45
市職員が語る「ここまでわかった須玖岡本遺跡!!」
開催日時:3月8日(土)13時30分~15時30分
開催場所:奴国の丘歴史資料館研修室
所在地:福岡県春日市岡本3-57
定員:40人 ※申込先着順
資料館公式サイト:https://www.city.kasuga.fukuoka.jp/miryoku/history/historymuseum/index.html
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000135678.html
(高野晃彰)