モチーフの意味を考えながらアートを楽しむ|東京・銀座でロレンツォ・フェルナンデス氏が個展を開催

東京・銀座の「ギャルリーためなが」にて、現代スペインリアリズムを代表するアーティスト、ロレンツォ・フェルナンデス氏の個展が3月22日(土)から4月20日(日)まで開催される。

彼が東京で個展を開催するのは実に4年ぶり。今回の個展では、ギリシャ神話にインスパイアされた作品を含む約40点を披露する。

独自のリアリズムが息づくフェルナンデス氏のアート

ロレンツォ・フェルナンデス氏は、1970年にスペイン・マドリードで生まれたアーティスト。

彼は14歳からスペイン伝統のバロック絵画技法を学び、細部まで緻密に描き上げる技術を習得。1993年からはコンセプチュアル・アートの第一人者であるペドロ・カルヴァン氏に師事し、伝統と現代性を融合させた独自の画風を確立した。

アートピア

アートピア

彼の作品は一見すると写真のように見えるが、非現実的な焦点のぼかしや複数の視点を組み合わせた構図により、写真にはない不思議な世界観を作り出している。

モチーフに込められた意味の“謎解き”を楽しむ

フェルナンデス氏の作品におけるもう一つの特徴は、身近なものをモチーフとして描いている点。モチーフの一つひとつには象徴的な意味が込められており、観覧者を思考の世界へと誘う。

例えば、ギリシャ神話シリーズの一作「孤独への恐れ/ミノタウロス」では、牛とゴリラのおもちゃをミノタウロスに見立て、背後に配された写真を美の女神ヴィーナスとして描いている。また、貝殻はミノタウロスが閉じ込められている迷宮を囲む海、そして毛糸玉は勇者テセウスを導く道しるべを象徴しているそう。

色彩にもこだわっており、同作品については青や紫、茶色といった色によって、“孤独から救われる未来への希望”を表現した。

孤独への恐れ/ミノタウロス

孤独への恐れ/ミノタウロス

神話を知っていれば、モチーフの意味を考察する楽しさも味わえるはずだ。

「美しさを超えて/ヴィーナスの誕生」を披露

今回の個展には「美しさを超えて/ヴィーナスの誕生」と題した作品も展示する。

この作品では、1940年代に活躍した女優ヘディ・ラマーさんを貝殻から現れるヴィーナスとして描写。ラマーさんはその美貌で知られる一方で、BluetoothやWi-Fiの基盤となる無線誘導システムを発明した技術者でもあった。

フェルナンデス氏は彼女の隣に、ロマネスク美術において“忠誠”と“誠実”を象徴する犬の彫刻を。そして背後には、技術の象徴でもあるロボットの頭部を描き、作品に「過去と未来」「美」「自然」「テクノロジー」といったさまざまなテーマを含ませている。

美しさを超えて/ヴィーナスの誕生

美しさを超えて/ヴィーナスの誕生

世界各国で高い評価を受けるフェルナンデス氏の作品を、この機会に直接目にしてみては。

ロレンツォ・フェルナンデス展
会期:3月22日(土)~ 4月20日(日)
開廊時間:月~土11時~19時/日・祝11時~17時
会場:ギャルリーためなが
所在地:東京都中央区銀座7-5-4

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000106.000001460.html

(IKKI)