年度始めの忙しさが落ち着きつつあるこの時期、アートに触れて心をリフレッシュしてみては。4月15日(土)~4月16日(日)、東京で鑑賞できるおすすめの展示会を紹介する。
巨匠ヘルムート・ニュートン氏や世界で活躍するヴォルフガング・ティルマンス氏、赤外線だけで照らされた世界を捉える澤村徹氏の写真展のほか、映画監督の大島渚氏、デザイン集団ヘザウィック・スタジオの展示会をピックアップした。
<渋谷>世界的に活躍する写真家・ティルマンス氏の展示
「エスパス ルイ・ヴィトン東京」では、 6月11日(日)まで、ロンドンとベルリンを拠点に世界的に活躍する写真家、ヴォルフガング・ティルマンス氏の展示「Moments of Life」を開催。
同氏は、レイヴやゲイコミュニティのパーティにおける身体の脆弱性や、くだけたポーズをとる友人たちの姿、長年にわたって私生活を撮り続けた個人の姿などを捉える。
超大判から小さいものまで、さまざまなサイズの作品たちを、額装あり、もしくはなしで展示。
展覧会の構成も自ら手掛け、作品をグループごとにまとめて壁に貼る・吊るす、あるいはその場で決めた順番にテーブル上に配置するなど、展示空間を“イメージの集合体が人間のコミュニティを反映する、一種のラボ”として捉えて組み立てる。
また時代に注意深いまなざしを送る一方で、肖像画、静物画、風景画といった伝統的なジャンルに立ち戻りつつ、コピー機での拡大印刷や暗室での抽象表現など、写真印刷技術の実験も行う。稀代の芸術家が見せる写真世界を堪能できるだろう。
Moments of Life
会期:開催中~6月11日(日)
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京
所在地:東京都渋谷区神宮前5-7-5
WEBサイト(公式):https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/magazine/articles/wolfgang-tillmans-espace-louis-vuitton-tokyo
WOLFGANG TILLMANS – MOMENTS OF LIFE
Exhibition view at Espace Louis Vuitton Tokyo (2023)
Courtesy of Fondation Louis Vuitton
©Wolfgang Tillmans
Photo credits: © Jérémie Souteyrat / Louis Vuitton
<目黒>物語のある写真。ヘルムート・ニュートン氏の展示
アートギャラリー「LOWW(ロウ)」では、4月16日(日)まで「INTERNATIONAL IMAGES. GALLERY」によるヘルムート・ニュートン氏の写真展を開催する。
同氏は、1920年ドイツ・ベルリン生まれ。『VOGUE UK』『VOGUE PARIS』などと契約を締結し、ファッション・フォトグラファーの第一人者として活躍したアーティストだ。
マゾヒズムやサディズム、フェティシズムをともなう官能的なスタイルにどこかスタイリッシュさを感じさせる同氏の作品。まるで映画のワンシーンを観ているような写真構成と、それを可能にするディレクションは天才的といえる。
1984年に同氏は、自身の“最高傑作”を集めたポートフォリオのコレクション「Private Property」のプロデューサーとして、ノーマン・ソロモン氏を迎え入れた。
同展では、ソロモン氏が生前彼からフィルム所有権を取得し、独占販売権を財団より認められている「Private Property Colletion」の中から選定されたものを見ることができる。ファッション界に多大な影響を与えた巨匠の作品を目にしてみては。
INTERNATIONAL IMAGES. GALLERY Exhibition Photos by Helmut Newton
会期:開催中~4月16日(日)
会場:LOWW
休廊日:毎週水曜日
所在地:東京都目黒区大岡山1-6-6
WEBサイト(公式):https://www.loww.co.jp/
<京橋>映画界の巨匠・大島渚氏の世界を解き明かす展示会
東京・京橋の「国立映画アーカイブ」では、『愛のコリーダ』や『戦場のメリークリスマス』など、数々の名作を世に送り出した映画監督・大島渚氏の映像世界と創作の舞台裏を解き明かす展示会を8月6日(日)まで開催する。
同展は、大島氏自らが体系的に遺したフィルム断片やセットイメージ図などの作品資料・創作ノートなどの個人資料をもとに、その挑戦的な知性と行動の多面体に迫る。
企画の監修には、それらの資料を明るみに出した大著『大島渚全映画秘蔵資料集成』(2021年)の編著者である樋口尚文氏を迎え、同書の構成を踏襲しつつ独自のコーナーも加えることで、その苛烈な映画人生を俯瞰する。
会場では「劇場予告篇集」のほか、坂本龍一氏、真鍋理一郎氏、林光氏、武満徹氏、三木稔氏といった、大島映画を彩る作曲家たちの音楽の視聴も可能だ。
また4月11日(火)~5月28日(日)の期間は、これまでの作品を見ることができる上映企画「没後10年 映画監督 大島渚」も開催。展示とあわせて映画を鑑賞することで、作品をより深く理解できるだろう。
没後10年 映画監督 大島渚
会期:開催中~8月6日(日)
休室日:月曜日および5月30日(火)~6月1日(木)
会場:国立映画アーカイブ 展示室7階
所在地:東京都中央区京橋3-7-6
WEBサイト(公式):https://www.nfaj.go.jp/exhibition/nagisaoshima2023/上映企画
会期:開催中~5月28日(日)
会場:国立映画アーカイブ 小ホール[地下1階]
所在地:東京都中央区京橋3-7-6
休映日:月曜日
WEBサイト(公式):https://www.nfaj.go.jp/exhibition/oshima202303/#section1-1
<新宿>もうひとつの世界。澤村徹氏の「視覚の陰謀論」
新宿マルイ本館8Fでは、澤村徹氏による写真展「視覚の陰謀論」が開催中。会期は4月19日(水)まで。
特殊な撮影装置により“赤外線だけで照らされた世界”を捉え、独自の画像処理を行い私たちが認識できるイメージへと変換した「デジタル赤外線写真」が展示されている。
オールドレンズの第一人者として写真業界で活躍する澤村氏は、20冊以上のオールドレンズの解説書を出版する傍ら、2008年からデジタル赤外線写真による作品制作を開始。
翌2009年、日本初となるデジタル赤外線写真による写真展「Black Morning」を開催し、同作品は日本写真協会新人賞にノミネートされた。
赤外線は昼夜を問わず、自然光にも人工光にも含まれる。したがってまるで異界のようなその写真世界は、空想的でも擬似的でもない。まぎれもなく私たちが認識しえない“もうひとつの世界”の有り様だ。
オールドレンズの第一人者が生み出す、もうひとつの世界を覗きに行ってみては。
澤村徹写真展 視覚の陰謀論
会期:開催中~4月19日(水)
会場:新宿マルイ本館8F
所在地:東京都新宿区新宿3-30-13
時間:11:00~20:00(入場無料)
WEBサイト(公式):https://www.0101.co.jp/003/event/detail.html?article_seq=116050&article_type=sto
<六本木>世界が注目するヘザウィック・スタジオの展覧会
「森美術館」では 6月4日(日)まで、「へザウィック・スタジオ展:共感する建築」が開催される。
世界が最も注目するデザイン集団ヘザウィック・スタジオの主要プロジェクト28件を、天空にある大空間「東京シティビュー」で紹介。これが日本で最初の展覧会となる。
試行錯誤を重ねながら新しいアイデアを実現する彼らの仕事を、「ひとつになる」「みんなとつながる」「都市空間で自然を感じる」など6つの視点で構成。人間の心を動かす優しさ・美しさ・知的な興奮、そして共感をもたらす建築とは何かを探る。
「ヘザウィック・スタジオ」は、1994年にロンドンで設立。ニューヨーク、香港、上海、シンガポールなど世界各地で革新的なプロジェクトを手掛けている。
モノやその土地の歴史を学び、伝統的なものづくりの技術に敬意を払いながら、最新技術を駆使して生み出される空間。それらはこれまで見たことがないような斬新なアイデアであふれている。
来る時代に適う、豊かな示唆に富んだ建築のあり方に注目してみては。
へザウィック・スタジオ展:共感する建築
会期:開催中~6月4日(日)
会場:東京シティビュー
所在地:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階
WEBサイト(公式):https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/heatherwick/
創造性を持ち、挑戦するアーティストの作品は色あせることがない。この春は、アートを通してその情熱や感性に触れてみよう。
(IGNITE編集部)
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