旭酒造が日本一の山田錦で造った「獺祭 最高を超える山田錦2021年度優勝米 DASSAI Beyond the Beyond 2022」が9月16日(金)、ニューヨークのオークションハウス、サザビーズで最終価格8,125ドル、日本円でおよそ約115万円で落札された。
岡山県の髙田農産がこだわり抜いて育てた山田錦を使用した最高の一本が、世界からも高く評価された瞬間だ。
旭酒造と米農家がタッグを組んだ、最高を超える獺祭
旭酒造は、自社で主催する「最高を超える山田錦プロジェクト2021」の優勝米で特別な獺祭(だっさい)を醸造。全23本のうち、通し番号1番のボトルを同オークションに出品した。サザビーズNYによると、ニューヨークでのオークションで日本酒の出品・落札は初めてのことだという。
一昨年、香港サザビーズで行われたオークションでは、2019年のグランプリ米で醸したお酒を出品し、日本酒の取引額として当時過去最高額の1本約84万円で落札。今年8月にはラスベガスのとあるホテルにて「Beyond the Beyond 2019年優勝米」を3本販売し、1本15,888ドル(当時約222万円)で完売した。
獺祭 最高を超える山田錦2021年度優勝米
「最高を超える山田錦プロジェクト2021」は、旭酒造と契約する全国の山田錦農家に、今までの山田錦を超えるものに挑戦してもらうコンテスト。テーマは「今までの常識を疑い、最高を超える酒米をつくる」だ。
2019年から始まり3回目となる今年の審査からは、酒米の審査基準を変更。具体的には今まで大きい方が良いとされていた米中心部の心白を、「中心に小さくしっかりと」という基準に変更した。
余分なものをそぎ落とすことで出る透き通った味わいや華やかさ、細部まで繊細に感じるきれいな甘みとふくらみ。新しい審査基準のグランプリ米で新たな獺祭をつくることで、求める美味しさを一つ先に進めることができたという。
容器の素材や品質にもとことんこだわった
また、できる限り搾りたての新鮮なお酒を楽しめるよう、最先端の冷凍技術の力を借り、ボトルの素材も冷凍に耐え得るものを用いた。漆塗りのキャップは日本最高峰の作家、まる又漆器店 伊藤猛氏の作品。この一本に創造と挑戦が詰まっている。
グランプリを獲得した高田農産の山田錦作り
「最高を超える山田錦プロジェクト」でグランプリに輝いた髙田農産は、岡山県岡山市南西部の興除地区で山田錦の栽培をはじめとする農業を営んでいる。
代表を務める髙田正人氏はこうコメントしている。
「これは日本の農業に夢を与えてくれるな、と感じて、俄然やる気が湧いてきました。ただ、第1回目のグランプリにはエントリーしなかったんです。あの年は、うちの米の心白の出来に納得がいかなかった。2回目はエントリーしましたが、(昨年度グランプリを獲得した)福岡県の北島(将治)さんの米を見て、これは絶対にかなわないと思いました」。
転機となったのは、第3回から審査基準が変わったことだった。心白が中心に小さく入っている米なら作れると思い、専用の田んぼを1ヘクタールほど準備。肥料の調整や水の管理、刈り入れにもこだわったという。
「マスコミにも取り上げていただいて、周囲の農家もやる気になっています。切磋琢磨する仲間ですけれど、ライバルでもあります。負けませんよ。次は、連覇を目指します」。
旭酒造と米農家が切磋琢磨する同プロジェクトが生み出す、“最高を超えた獺祭”の今後が楽しみだ。
旭酒造公式Webサイト:https://www.asahishuzo.ne.jp/
サザビーズオークションページ:https://www.sothebys.com/en/buy/auction/2022/finest-wines-featuring-bordeaux-icons-from-a-gentlemans-cellar/dassai-beyond-the-beyond-2022-asahi-shuzo-1-bt
(hachi)