昨年創刊20周年を迎えた光文社新書、創刊15周年の古典新訳文庫に続く、ノンフィクション・学術文庫シリーズ「光文社未来ライブラリー」を4月12日(火)に創刊した光文社。この「光文社未来ライブラリー」も15年、20年と読み継がれるラインナップを目指す。
「未来ライブラリー」というネーミングの理由
光文社未来ライブラリーは、「最良の未来を発明する人々のための、新しいノンフィクション・学術文庫シリーズ」をコンセプトに、翻訳単行本、ノンフィクション、新書の中から、未来の「知」に相応しいアカデミック、ジャーナリスティックなものを厳選。幅広い年代の読者をターゲットにするが、特にこれから様々な分野のリーダーとなり、未来をつくっていく人に読んでほしいという思いを込めて、「未来ライブラリー」というネーミングしている。
創刊では、マルコム・グラッドウェル著『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』と、J・D・ヴァンス著 『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』の2冊をリリースした。
『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』
一瞬のうちに「これだ!」と思ったり、説明できないが「なんか変」と感じたりしたことはないだろうか? これが心理学でいう「適応性無意識」である。なぜ、さまざまな科学的検査で本物と鑑定された古代ギリシャ彫刻を、何人かは見た瞬間に贋作だと見抜けたのか? あるベテランのテニスコーチはいかにして、選手のサーブ直前にダブルフォールトになることを見抜いているのか? 多くの実験や取材から、「ひらめき」の力の謎に迫る。
『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』
マルコム・グラッドウェル 沢田博・阿部尚美 訳
定価1100円
『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』
「米大統領が代わっても、忘れられてはならない本がここにある」――ブレイディみかこさん推薦
2016年、無名の31歳の弁護士が書いた回想録がアメリカでミリオンセラーとなった。「ラストベルト(さびついた工業地帯)」と呼ばれる、かつて鉄鋼業などで栄えた地域の荒廃、自らの家族も含めた貧しい白人労働者階層の独特の文化、悲惨な日常を描いた本書は、トランプ現象を読み解く一冊として世界中でセンセーションを巻き起こす。2020年、ロン・ハワード監督によって映画化もされた歴史的名著が、文庫で登場。解説・渡辺由佳里
『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』
J・D・ヴァンス 関根光宏・山田文 訳
定価1320円
未来の「知」というジャンルに切り込んでいく「光文社未来ライブラリー」は、野心的なラインナップで、私たちの知的好奇心を刺激してくれるはずだ。
(MK)