コロナ禍以降、東京23区の中古マンション市場は供給数減少で高騰化が継続

コロナ禍における、23区内の中古マンション市場の動きを分析。

■コロナ禍で高騰が続く23区中古マンション

2011年創業、不動産売却一括査定サイトを運営している「マンションリサーチ」は、「日本全国の中古マンションをほぼ網羅した14万棟のマンションデータ」「9000万件以上の不動産売出事例データ」及び「不動産売却を志向するユーザー属性の分析データ」を収集し、これらのデータを基に集客支援・業務効率化支援及び不動産関連データ販売等を行っている。

「マンションリサーチ」が発表した、コロナ禍以降高騰が続く東京都23区中古マンション価格に関する、2021年7月最新の「中古マンション流通レポート」を紹介しよう。

■中古マンションの「供給数」大幅減少

2020年春の1度目の緊急事態宣言が発出以降、新たに売りに出される中古マンションの「供給数」は大幅に減少。2020後半には、一時、供給数が前年を上回った月もあったが、そのまま回復することはなかった。

依然として続く東京都23区中古マンション価格高騰の要因は、供給数が回復しないことと考えられる。

東京都23区の中古マンションは2021年に入ってから高騰幅が拡大

マンションリサーチ株式会社調べ

東京都23区の中古マンション価格は、1度目の緊急事態宣言解除後の2020年5月から高騰を続けている。

上記グラフの灰色の棒グラフが「2021年」の数値。いずれの月も、2019年、2020年と比較して大幅に高騰していることがわかる。

中でも2001年以降築の中古マンションの価格高騰が顕著で、2021年上半期は、千代田区を除く22区で前年からの高騰が見られた。とくに上昇幅が大きかった区は「+15.5%」の荒川区、「+12.3%」の品川区、「+10.0%」の江東区だ。

東京都23区/2001年以降築平均成約坪単価

マンションリサーチ株式会社調べ

■売り手市場から買い手市場に転換ならず

マンションナビでは、昨年11月に「売り手市場から買い手市場に転換か?」、つまり「マンション価格が下がる」という考察をしたが、この予測は大きく外れることとなった。

コロナ終息の見通しは依然として立たない

出典:東京都

2020年末から東京都ではコロナ陽性者数が急激に増え、3度目の緊急事態宣言を発出。そして、東京オリンピック前に4度目の宣言が出て今に至る。

陽性者数の推移との相関は定かではないが、陽性者数が落ち着いていた2020年秋には、中古マンションの売出数が一時的に増えたのは事実。コロナの終息が見えない今、中古マンション価格が今後どう推移していくかは皆目見当もつかないというのが正直なところだ。

中古マンション供給数は再び減少傾向に

マンションリサーチ株式会社調べ

「売り手市場」が継続している23区の中古マンション市場だが、供給数が伸びない今「買い手市場」に転換するにはしばらく時間がかかるものと見られる。

売り手市場にも関わらず供給数が増えない今は、これまでの通例があてはまらない時期。中古マンション流通マーケットのみウォッチしていても、予測がなかなか難しいといえる。コロナ終息の見通しも立たない今の状況では、陽性者数や日経平均、マンション価格など、あらゆる指標を相対的かつ慎重に注視していく必要がありそうだ。

不動産売却一括査定サービス『マンションナビ』:https://t23m-navi.jp/

(冨田格)