アレックス・カー氏プロデュースの古民家宿泊施設「ヤマウラステイ」

長い年月、風雪に耐えた古民家の再生が各地で広がっている。

長野県茅野市内で、風土や地域の事情を反映した個性ある4軒の古民家を改修し、宿泊施設として開業する。(開業時期は現在検討中)

■持続可能な地域をつくる

機構で進めている「観光まちづくり」の柱として、茅野市内で年月を重ねてきた4棟の風情ある古民家を利用した、一棟貸し素泊まりの宿泊施設「ヤマウラステイ」。

4棟の古民家の改修にあたっては、日本文化研究・古民家改修の第一人者として知られるアレックス・カー氏がプロデュース。長い歴史が積み重ねてきた柱や壁、家自体が持つ歴史の風格や美しさを大切にしつつ、機能の面で大規模な改修を施した。古民家の持つ贅沢な佇まいと、家としての快適さを、カー氏の美意識でつないだ上質な空間を実現した。

■本当にリラックスして過ごせる贅沢な家

山浦エリアは隠れ里のような場所。古い家や開発されていない美しい農地が残った山に囲まれた集落だ。一見何でもない村落だが、実はそういった景色が残っている場所は日本中探してもほとんどなく、奇跡的に守られてきた隠れ里(アレックス・カー氏談)。

ヤマウラステイで滞在してもらう家は、そんな集落に建つ古い民家。現代人の気忙しい日常を離れるための家。山奥にある隠里へ入って、散歩したり、家でくつろいだり、自由にゆっくりと過ごす。

そのために、ヤマウラステイの古民家は、長い歴史が積み重ねてきた柱や壁などは可能な限りそのままに、上質で快適な空間を目指して改修された。

趣の異なる4つの古民家

清水(きよみず)……川のせせらぎや田園風景、古い民家などが残された、山奥へ向かう道にひっそりと佇むまさに「隠れ里」と呼ぶべき集落に建つ邸宅。もともとは長野県佐久地方にあった家を150年前に移築する形で現在の場所へ。家の一角にはかつての厩(うまや)があり、その高い天井を活かし、改修では吹き抜けのリビングに生まれ変わった。(茅野市湖東)

 

花兎(はなと)……母屋に寄り添うように建つ隠居。ご隠居が夫婦で暮らした、かわいらしい佇まい。清水の離れとして作られた古民家から見る景色にアクセントを与えているのが蔵。壁を塗る漆喰を使って鏝(こて)で描いた「鏝絵」も個性を与えています。バスルームから見る、この蔵を含めた景色は花兎の見どころの一つ。(茅野市湖東)

 

金渓(きんけい)……川向うに建つ山すその家。築110年ほど、明治期に建てられたものと伝わっている。目の前に川が流れているのが特徴で、静かな集落に響く川のせせらぎも過ごす時間を彩る要素。古民家の敷地の向かい、開けた視界の先には八ヶ岳。寝室やリビングで八ヶ岳の雄大さを感じながら過ごせるのも楽しみの一つ。(茅野市金沢)

 

渋道(しぶみち)……地域独特の本棟造りによる2階建ての古民家。山奥で温泉旅館を営む一家が建てた別宅。正方形の間取りに加え、傾斜の緩い大きな屋根が特徴で、かつて養蚕が行われていた2階は梁が見える広々としたスペースに。囲炉裏や、土壁が残る庭の蔵、家を囲む用水路など風土と調和しながら生きてきた人々の暮らしを感じることができる。(茅野市北山)

 

日本の財産ともいえる隠れ里の、本当に贅沢なリゾート「ヤマウラステイ」を訪ねてみたい。

 

※画像はすべて想像図

(MOCA.O)