「MADE BY THE SEA」タリスカーの世界観を最高の環境で味わう『TALISKER LOVERS TOKYO 2019』レポート

2019年9月27日(金)街が薄暮に包まれ始める頃、東京・品川、天王洲駅にほど近い運河に浮かぶ帆船を思わせるT-LOTUS Mにシングルモルトを愛する大人の男女が三々五々と集まってきた。

スコットランド北西部に位置し、インナーヘブリティーズ諸島で最大の島スカイ島で生み出された唯一無二のシングルモルト スコッチウィスキー「タリスカー」が贈る一夜限りのスペシャルイベント『タリスカー・ラヴァーズ東京 2019』が開催されたのだ。

運河に浮かぶロマンチックな空間で行われたこのイベントの模様をレポートしよう。

◾︎タリスカーとは

1830年スカイ島、マカスキル兄弟によって建てられた「タリスカー蒸留所」で生産が始まったのがシングルモルト「タリスカー」。

北大西洋とノルウェー海がぶつかるスコットランド北西部、海に続く深い入江のような構造の汽水湖ロッホ・ハーポートに面して「タリスカー蒸留所」は建っている。海に囲まれたゴツゴツした岩場の風景が広がるスカイ島は、「ミストアイランド(霧の島)」と呼ばれる厳しい海洋性気候。そんな環境で育てられてきたタリスカーの特徴は、まるで潮風を味わっているかのような「ラギッド(Ragged=無骨)」な風味にある。

古くは『宝島』の著者であるロバート・ルイス・スチーブンソンが“King of Drinks(酒の王様)”と評し、最近ではタリスカー25年が「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2019」にて最優秀スコッチシングルモルト(オフィシャル部門)に選ばれた。その特徴的な味わいに熱烈なファンが多く、長く愛され続けているシングルモルトだ。

◾︎タリスカー・ラヴァーズ東京 2019

タリスカーのシングルモルトを愛する人たちのための一夜限りのスペシャルイベント「タリスカー・ラヴァーズ東京 2019」は、「ESCAPE TO SKYE」がテーマ。東京湾からスカイ島へと船旅に出航するイメージを形にしたのが、会場となったT-LOTUS M。

日本を代表する建築家・隈研吾氏監修のこの船上スペースは、ローデッキ、メインデッキ、ルーフトップの3層構造。船内に足を踏み入れると、緩やかな波の揺れを感じて、スカイ島への船旅に出たという雰囲気を満喫できる。

この会場に用意されたプログラムは3つ。

1)タリスカー各種のテイスティング
2)ハリー杉山氏とHMDシングルモルトアンバサダーによるトークショー
3)韓国No.1人気の女性ジャズシンガー『Moon』のミニライブ

◾︎タリスカーのラギッドな味わいを堪能する

T-LOTUS Mのメインデッキに乗船すると、最初にウエルカムドリンクとして提供されたのが、タリスカー スパイシーハイボール。

これは、タリスカーの特徴である海潮のような風味と黒胡椒の爆発的な香味を活かして、ハイボールに挽きたての黒胡椒をオントップしたもの。

ウェルカムドリンク「タリスカースパイシーハイボール」

一口含んだ瞬間、口の中に広がる強烈なスパイス感に一瞬たじろぐも、その後にやってくるラギッドな風味に驚きを覚える。今まで飲んできたハイボールでは経験することのなかった刺激と、マイルドとは程遠い個性的な味の虜になってしまった。

今回のティスティングには、タリスカーフルラインナップ(10年、ストーム、ポートリー、57ノース、18年、25年、30年、ディスティラーズ エディション)が用意されていた。「タリスカー10年」で作られたスパイシーハイボールの次に選んだのは、潮の香りとブラックペッパーの風味をさらに際立たせ爆発的な味わいを強調したという「タリスカーストーム」。

アイスキューブを一つ入れたロックを作ってもらったが、まだ冷えていない常温の一口目は驚きの感覚。黒胡椒を効かせたスパイシーハイボールを軽く超える荒々しさで、まさにラギッドな味わい。

マイルドなウィスキーに比べると好みが分かれる個性の強さだが、この個性的な味だからこそファンは強烈に惹きつけられるのであり、タリスカーを愛してやまない大人たちが集まってきた理由もよく分かる。

バーでタリスカーを見つけたら、今回味わったものとは違うものをチョイスしてみようと心に誓う。

◾︎タリスカーを愛する男たちのトークショー

テイスティングを楽しんだ後にはローデッキに移動。ここでは、J-WAVEナビゲーターのハリー杉山氏のMCで、MHDシングルモルトアンバサダーのロバート(ボブ)・ストックウェル氏とのトークショーが開かれた。

ゲール語で乾杯の言葉「Slàinte mhath(スラーンジ・ヴァー)」で始まったトークショーは、 作り手であるロバート氏のタリスカーに注ぐ愛情の深さを存分に感じられる時間となった。

ハリー杉山氏(左)ロバート(ボブ)・ストックウェル氏(右)

中でも印象に残ったのは、タリスカーのすべてのラベルに記されている「MADE BY THE SEA」の意味。「BY」を「〜の側で」という意味で捉え、スカイ島の海の側で作られているからだろうと思い込んでいたが、これは「〜によって」という意味だそうだ。

つまりタリスカーは、スカイ島の自然、スカイ島を取り巻く海によって作られた、ラギッドで個性的な味、ということ。

日本語が実に流暢なロバート氏の冗談を交えたトークはとても楽しく、あっという間にトークショーは終了。

◾︎ジャズシンガーMoonのミニライブ

トークショーの後はルーフトップに移動。高く張られた帆の内側にはスカイ島の荒海や海に落ちる雷の映像が映し出されている。さらに、潮騒の音も流れていてスカイ島へ向けて航海している雰囲気を満喫できる。

今宵のゲストシンガーMoonは、WINTERPLAYのボーカルを経てソロに転向、2018年に日本でアルバム「Kiss Me」を発表しソロシンガーとしての活動を本格化した韓国のジャズシンガー。ファーストアルバムは香港でもリリースされ、週間アルバムチャートで1位を獲得した。今年7月にはセカンドアルバム「Tenderly」をリリース。アジア各国から注目を集める存在となっている。

プロデュースを担当しているギタリストの伊藤ゴローの演奏で、アルバムに収録曲の「ブラザジア」「クァンド、クァンド、クァンド」などを唄い、ラストにはタリスカーに敬意を表してスコットランド民謡「アニーローリー」をジャズアレンジで披露。

乗船時には薄暮だった空もすっかり暮れて、ロマンチックな夜景を眺めながつつ、運河を渡る海風に吹かれながらシングルモルトを片手に聞くジャズのなんと魅力的なことか。タリスカーのラギッドで個性的な味わいと、ジャズの余韻に浸りながらT-LOTUS Mを後にした。

タリスカー公式サイト:https://talisker-online.jp/

(冨田格)