ザッハトルテなどの菓子類や、「Riedel(リーデル)」のハンドメイドグラス、「Augarten(アウガルテン)」の磁器など、ウィーンで手に入れたいものはたくさんある。
ショッピングエリアとして有名なのは、オペラ座に続くケルントナー通りやグラーベンといったエリア。チョコレート専門店や高級な店が並んでいて、「これぞ貴族文化のウィーン!」といった趣き。見て回るだけでも楽しい。
そんなウィーンで紹介したいのは、メインの通りから少し離れたパサージュ。落ち着きがあって、屋根もあるので天気の心配もなく買い物が楽しめる場所だ。
ホーフブルク宮殿を通るヘレンガッセ通りを行くと、直角三角形のような形になっている建物がある。ホーフブルク宮殿側から見るとカフェがあり、その脇から建物内に入れるようになっていた。
中に入ると、光が降り注ぐ天井の高い吹き抜けに。そして噴水がその下に設置されているという、まるで宮殿内に入ったかのような造り。
このパサージュが「Palais Ferstel(パレー・フェルステル)」で、1860年に建てられたものだそうだ。
噴水の周りを囲む六角形、そしてそこから直線に伸びる小道の周りに様々なショップが並ぶ。
チョコレート専門店や缶詰やジャムの専門店、そして一番端の出口付近には骨董屋もあった。ワイン専門店ではちょっとした食事もできるらしく、パサージュの通りにテーブル席を設け、そこで食事を楽しむ人たちの姿もあった。
ウィーンらしいカフェで食事がしたい、と思ったら、一旦外に出て「Cafe Central(カフェ ツェントラル)」に行こう。観光客に大人気のカフェなので混む時もあるが、中は思ったよりも広々としているので割とすぐに入れる。
ここは昔、作家やインテリな人々に愛されたカフェで、夜にはピアノ演奏も聞ける。
色とりどりのケーキはどれも凝っていて美味しそうだが、料理の量がかなりあるのでまずは食べてからお腹具合と相談してデザートに進もう。
有名な薄切りカツレツ「Wienerschnitzel(ヴィーナーシュニッツェル)」もいいが、オススメは「Tafelspitz(ターフェルシュピッツ)」。よく煮込んだ牛肉が、野菜とスープとともにサーブされる。
脂っこさもなく、柔らかくてほろほろとした牛肉がとても美味しい。旅行で疲れた胃にも優しい、ウィーンならではの料理だ。
ツェントラルは有名なので混むが、意外にもパレー・フェルステルは混雑しない。中心部の雑踏に疲れたら、この美しいパサージュで落ち着いた買い物を楽しもう。
(田原昌)