日本発祥と言われている「猫カフェ」。それが海外の猫好きたちの心を掴み、やがて海外でも同様の店が誕生するようになってきた。
今回紹介するのは、音楽の都・ウィーンの猫カフェ。一体どのようなものか、わくわくしながら訪ねてみた。
場所はウィーン観光の中心部、シュテファン大聖堂の裏手。大きな通りから離れるので、少し見つけにくいかもしれない。
お店は白い建物の1階、壁から突き出た木に猫がお昼寝しているオブジェを発見。その名も「Cafe NEKO」である。
実は家で猫を飼っている関係で、日本では猫カフェには行ったことがなく今回が初挑戦。初めての猫カフェが海外というのも面白いなと思いつつ、勝手がわかっていないので少々不安になる。
脱走防止なのだろう、二重になっているドアを開けると突然「いらっしゃいませ」と声をかけられた。「日本語?!」とびっくりして見ると、日本人ではないスタッフがにっこり。
席に着くと、メニューを持ってきてくれたのが日本人。メニューもドイツ語と日本語が併記されている。日本人が始めた猫カフェなのだった。
手軽にと思って頼んだおにぎりとおいなりさんは、やはり猫の形。とても可愛く、また日本の味が恋しくなった人にもオススメ。
メニューには猫たちのプロフィールも書いてあり、猫たちと仲良くなれるおやつも販売中。
ここは日本の猫カフェとは違い、入場料を取られるわけではない。カフェメニューがあって、普通のカフェとして利用でき、そこに猫たちが好き好きに寝転んでいる。
ウィーンではカフェは文化の一つだが、ここも「猫がいる」という特徴を持つカフェなのだ。だから見ていると、客の方が気をつかって猫たちに場所を譲り、遠くからその様子を眺めて微笑んでいるだけなのである。
どうしても可愛がりたくなって店主に「触っても大丈夫ですか」と聞くと、もちろんOKという返事。黒猫ちゃんはちょっと気の荒い女の子だから気を付けて、とだけ言われた。
筆者が触っていると、他の人たちもおずおずと寄ってきた。本当は猫と触れ合いたい人たちばかりなのだ。
そして窓辺で寝ている猫たちを、外を歩く観光客が見つけては店内へ吸い込まれていく。まさに「招き猫」の効果だ。
日本だろうとオーストリアだろうと、猫が好きな人たちはたくさんいる。そして猫好き同士が友達になれる、そんな癒しスポットだった。
(田原昌)