この秋はタイムスリップしよう。住民が守る江戸時代「妻籠宿」を歩く

長野県木曽郡に中山道と伊那街道の分岐点にあり、古くから交通の要衝として栄えた「妻籠宿(つまごじゅく)」がある。

明治時代になると新たに鉄道や道路が作られ、宿場としての機能を失い衰退の一途をたどった。

その後、昭和の経済成長期に江戸情緒のある街並みが見直され、妻籠宿と旧中山道沿いの観光資源を「売らない・貸さない・壊さない」の保存運動が始まる。

地元住民の努力により、街並みは1976(昭和51)年、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された。

江戸時代の面影を色濃く残す街道を散策してみよう。

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画像出典元:南木曽町観光協会公式サイト「ぶらり南木曽」

宿場内は時間帯により歩行者専用道路となるので、車を利用の場合は近隣の町営駐車場へ入庫して街道へ向かう。

町並みは江戸時代さながら。観光客でにぎわっていなければ時代劇のロケ地に迷い込んだかと思うほどだ。

街道の両側には土産物店や郷土料理処、蕎麦処、甘味処が並び、客を招く。

木造の雨戸や欄干、格子戸など、懐かしい建築を眺めて歩いていると妻籠郵便局のはっぴを羽織った男性が。

聞けば現役の配達員だそうで、町の雰囲気造りの徹底ぶりに驚く。

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街道内にある妻籠郵便局も古風な造りで建物前の黒い「書状集箱」は当時のポストを復元したもの。

局内には「妻籠郵便資料館」があり、ATMが設置されているのがかえって違和感を感じてしまう。

妻籠郵便局のオリジナルの消印がある。絵はがきなどの郵便物に妻籠の風景が入ったオリジナルの消印を受けたい場合は窓口に提出する。

書状集箱(ポスト)への投函では押されないので注意が必要だ。

秋も深まった季節の散策は冷えた体に温かいものが欲しくなる。

甘味処にお邪魔して栗のたっぷり入ったぜんざいをいただくと体の芯からほかほかとしてくる。

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郷土色の濃い手打ちそばや五平餅、馬刺しなどを提供する食事処もあるのでランチを愉しむのもよい。

もちろん宿をとり妻籠に泊まるのもいい体験。

バストイレ付の部屋のある宿はなく、個室や鍵のない宿であったとしても妻籠ならではの得難いものが見つかる一夜となることだろう。

華やかな観光地ではないが、懐かしい情緒あふれる街並みを静かに愉しんでみてはいかだろう。

【妻籠観光協会 観光案内所】
住所:長野県木曽郡南木曽町吾妻2159-2
電話:0264-57-3123

(小椚萌香)