海一望の贅沢宿 「源泉と離れのお宿 月」

案内されて部屋に入ると明るい自然光に満ちている。見上げると柔らかな陽が天窓からリビングへと射し込んでいた。シモンズ製のセミダブルサイズのベッドにふっくらと布団がかかり、窓の外に相模湾が青く広がっている。

pict-IMG_2681

海がキラキラとさざめいているうちにひと風呂浴びることにしよう。パウダーコーナーに続く一枚板の洗面台、その奥にシャワーブース、露天風呂と使い勝手がよい配置。露天風呂へのドアを開けると伊豆では珍しい硫黄の香り漂う温泉が滔々と注がれ、掛け流しにされている。黒みがかった石造りの浴槽はひっそりと眼に静かで景色を壊すことなくしかも重厚感があり好ましい。

pict-IMG_2678

テラスにはデッキチェアが並び、温泉で温まった体のほてりを冷ますのにほっとひと息できる心地よい居場所である。

pict-IMG_2680

大浴場「月姫の湯」は森に浮かぶ露天風呂。タオルとミネラルウォーターが用意されているので気が向いたらすぐに手ぶらで向かうことができる。「月姫の湯」は敷地内の小路を下っていくと森の中に現れる。こちらも硫黄の香りのする掛け流しの湯。洗い場はなく、ただただゆっくりと森林浴をしながらの温浴するためだけのスペースである。時折野鳥が枝から枝に行き交うのを眺められたり、運が良ければリスも現れるらしい。木立が生い茂り昼間でもほの暗く、日頃の喧騒と疲れを忘れさせてくれる心安らぐ贅沢な時間が味わえる風呂だ。

pict-IMG_2686

母屋棟に予約制のゲルマニウム岩盤浴の施設もあるので利用しよう。45分の予約制、有料であるが、宿泊料金を前払いしていれば無料で利用できるので宿泊予約の際に申し出ておくとよい。

温泉をたっぷりと堪能したあとは創作会席のフルコースが待っている。食事は食事処「月影」の個室。着座すると食材などの記載がないあっさりとしたお品書きが目に入る。オードブル・月の雫、お刺身・相模海、といった具合。これはいったいどんな料理が出てくるのかと思っていると、担当のスタッフが料理のセッティングの際に謎解きをしてくれるのも興味深い演出だ。伊豆の海の幸が随所に光る美味しい料理を存分に愉しめる夕食だった。

翌朝の早起きのご褒美は朝焼けの朱色が徐々に青みを帯びてくる空と海を眺めながらの露天温泉。こんな贅沢はあまりない。

pict-IMG_2728

 

住所:静岡県伊東市富戸1241-2
電話:0557-33-1233
予約専用ダイヤル:050-3733-5001(10:00~19:00)

サイト:http://tsuki.cc/

(小椚 萌香)