東京、仙台、ロンドンに拠点を置くビジュアルデザインスタジオWOW Inc.が、世界的に有名なプロダクトデザイナー、マーク・ニューソン氏とタッグを組んで、日本第一級の伝統工芸のひとつである日本刀をブラッシュアップしたオリジナルアートピース“aikuchi”（アイクチ）を発表した。

作品名の“aikuchi”は、鍔（つば）を持たない形状の日本刀“合口”から名付けられた。人を斬るための武器として生まれた日本刀は、戦乱の時を越えて平和な時代を迎えたとき、本来の役目を終え、使い手を保護するための鍔（つば）をなくした。「人を殺める」という悲しい目的から解放され、自らを守ることも放棄した合口はやがて、平和の象徴となり、現代まで工芸品という形で受け継がれてきたのだ。

そんな古の想いにマーク・ニューソン氏が共鳴し、新しいアート作品 、“aikuchi”が誕生した。今回氏のプロダクトを支えたのは、東北の名職人の技。自ら現地に足を運んだマーク氏は、実際にその研ぎ澄まされた技術を目の当たりにし、職人たちと会話をしながらイメージを構築していった。

木工、刀身、塗り、すべてにおいて妥協のないクラフトマンシップと、革新的なデザインの融合は、緊張と緩和、伝統とコンテンポラリーの二面性に満ち、目にする者に新たな価値観を与える。国内外の情勢が目まぐるしく変化する現代に蘇った“平和への願い”に、あなたは一体何を感じるだろうか。