酒類総合研究所と日本酒造組合中央会が主催する「全国新酒鑑評会」。
権威ある鑑評会において、福島県は2012年度から今回の2015年度まで、金賞受賞数が4年連続で日本一に輝いた。震災の被害を受けながら、2位の山形県と兵庫県を抑えてのうれしい称号である。
福島県全体では18銘柄。そのうち会津若松市や喜多方市など県西部の会津地方の受賞数は、なんと13銘柄に及ぶ。飯豊山脈からの美味しい水、そして会津藩下における江戸時代からの技が光るのだろう。
今回はその中の3つの受賞蔵を訪ね歩く。
郡山で新幹線から磐越西線に乗り換え、会津若松へ。駅から歩いて20分程度、七日町という素敵な街並みの中に「鶴乃江酒造(つるのえしゅぞう)」がある。
歴史を感じさせる木造の建物と軒下に吊るした酒林が我々を誘う。会津藩御用達頭取を務めたという歴史を持つ鶴乃江酒造は、1794(寛政6)年に創業したという200年以上の古い歴史を持つ。
全国新酒鑑評会での金賞だけでなく、2015年には「Sake Competition」の純米大吟醸部門で日本一に輝いた注目の酒蔵でもある。
母と娘も杜氏として活躍しており、今では代表銘柄のひとつとなっている「ゆり」は、娘のゆりさんが挑戦した酒である。金賞受賞酒の「会津中将(あいづちゅうじょう)」と共に味わって頂きたい。
酒蔵見学:要予約
HP : http://www.d3.dion.ne.jp/~seibo/
鶴乃江酒造から鶴ヶ城に向かう途中にあるのが、「末廣酒造・嘉永蔵(すえひろしゅぞう・かえいぐら)」。こちらも風格のある木造の建物が出迎えてくれる。1850(嘉永3)年創業であり、あの野口英世も立ち寄った蔵だ。
金賞酒は「嘉永蔵大吟醸」。なんと「International Wine Challenge 2007」の「SAKE部門・純米酒の部」において、「伝統山廃純米末廣」がGoldを受賞した。試飲コーナーが充実しており、その2銘柄を含めて色々と試せる。
酒蔵見学:予約不要、時間制
HP : http://www.sake-suehiro.jp
さて、会津若松駅からまた磐越西線に乗って喜多方へ。蔵の街、ラーメンの街喜多方を楽しみながら、「大和川酒造店(やまとがわしゅぞうてん)」の「北方風土館」に向かう。
ここは会津のような寒い地方では育たないとされてきた「山田錦」の栽培に成功し、豊かな飯豊山の伏流水で酒を仕込んでいる。地元の原材料だけでつくった「弥右衛門(やうえもん)」は、6年連続で金賞を受け続ける歴戦の酒だ。
創業の1790(寛政2)年から続く、地元の人間の手によって、地元の米と水を使って仕込むこだわりの心。味わって頂きたい酒がここにある。
酒蔵見学:予約不要、自由見学も可
(田原昌)