ビールのように試しめる、新感覚のシードルを紹介しよう。
青森のりんご農家、もりやま園が自社工場で醸造する、「テキカカシードル」に新しいフレーバー「ライチ」と「ラガー」が加わる。発売時期は3月下旬の予定だ。
りんごの摘果時に捨てられてしまう未成熟りんご「摘果果(テキカカ)」を使った「テキカカシードル」は通年で醸造され、これまで元祖白ラベルの他に、姫りんごのドルゴ、カシス、いちごを販売してきた。
リンゴポリフェノールが豊富な「テキカカシードル」
青森県のもりやま園では、自社で栽培するりんごの摘果時に捨てられてしまう摘果果を使って、テキカカシードルを自社工場で醸造している。
摘果で摘まれる未熟りんごには、リンゴポリフェノールが成熟果の約10倍高濃度に含まれているため、同商品1本あたり、りんご6個分のリンゴポリフェノールが含まれている。渋みを生かした独特の風合いと爽快感が楽しめる1本だ。
国内最高賞も受賞
発売開始から5年、同商品はビールのようにどんな食事にも相性が良いと評され、「ジャパンシードルアワード2019」で国内最高賞を受賞するなど、順調に知名度を獲得してきた。
また、SDGsの潮流が起こり、同商品の存在意義である持続可能な農業への挑戦や、食品ロス問題への取り組みで全国メディアに取り上げられ、コロナに負けることなく売り上げを伸ばしている。
そして今回、新しく発売するフレーバーは「ライチ」と「ラガー」。どちらも試行錯誤して完成した、新感覚のシードルだ。
北国のリンゴと、常夏のライチの出会い
りんごの味にライチの香りを感じる「ドルゴクラブ」を使用した、現在販売中の「テキカカシードル ドルゴ」。その次に挑戦したいと思ったのが、ライチとのコラボだった。
寒さ厳しい北国のリンゴと、常夏の楽園に育つライチの出会いは運命的で面白いと思ったものの、ライチは輸入に頼るしかない。
今まで青森県産原料しか使ったことがなかったため、いろいろな意見も出たが、青森県産にこだわり過ぎて面白さが損なわれるのは逆にもったいないという結論に至り、輸入果汁でも原料に使うことを決定したという。
使用するライチは、タイ産で添加物不使用、ライチ以外の果汁が混じっていない純粋な100%のジュースを入手し、醸造部で試作を行った。そして、狙い通りの美味しいライチフレーバーのテキカカシードルが完成した。
麦畑を思わせる香りを引き出したシードル
銀ラベルのラガーは、ビールを目指した元祖白ラベルよりも、さらにビールっぽく、ドライにして、ビールの代替品にしてしまおうと目指して開発。
元祖白ラベルではエール酵母を使い、フルーティーさを際立たせたのに対して、同商品ではラガー酵母を使用することで、麦畑を思わせる香りを引き出した。また、摘果りんごの果汁以外に王林、未希ライフの果汁を使用することで、後味の酸味を抑えつつも香り高い特性が活かされ、よりビールっぽい仕上がりに。
もちろん、同商品はシードルなので、青森県弘前市産のリンゴを100%使用、麦は一切使っていない。
テキカカシードルは、輸入穀物に依存しないビール代替品となり、また農業問題やSDGsに対する解決のきっかけになりそうなお酒だ。
公式サイト:http://www.moriyamaen.com
(田原昌)