京都春秋が、京都でも有数の規模を誇る禅宗寺院 大徳寺塔頭「聚光院」の特別公開を、9月3日(土)~2023年3月26日(日)の期間に開催。
「大徳寺」は織田信長や豊臣秀吉など戦国大名ゆかりの地。戦国武将に仕えた千利休や、日本美術史上の重要人物・狩野永徳を代表とする狩野派などが活躍した当時の文化の最先端であり、日本文化に多大な影響を与えた場所だ。
本記事では、今回、披露される作品や建造物についてご紹介したい。
千利休の菩提寺「大徳寺塔頭 聚光院」
「聚光院」は永禄9年、戦国武将の三好義継が養父・長慶の菩提を弔うために創建。開祖である笑嶺宗訢が千利休参禅の師であったことから、利休は聚光院を自らの菩提寺とした。
また利休の流れを汲む茶道三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)歴代の墓所でもあり、茶道を嗜む人にとって特別な場所だ。
狩野永徳・松栄による国宝の本堂障壁画
聚光院本堂の障壁画は桃山時代の天才絵師、狩野永徳(狩野派4代目)とその父、松栄(狩野派3代目)によって描かれた。特に永徳は当時24歳と若年ながら本堂の中心的機能を持つ室中を任され、傑作「花鳥図」を描き上げた。
狩野永徳は日本画の重要人物の一人として挙げられるが、永徳が手掛けた安土城、聚楽第、大阪城はいずれも兵火・破却に遭い現存する作品は少なく、このスケールで残るものは聚光院の障壁画「花鳥図」のみだ。1979年に「モナリザ」が来日し展示されたが、その際に答礼としてフランスで展示されたのが永徳の「花鳥図」だった。まさに日本美術を代表する傑作といえるだろう。
狩野父子による障壁画46面は全て国宝に指定され、今年、京都国立博物館から5年半ぶりに里帰りしての一挙公開となる。
茶道三千家の関わりを持つ重要文化財「閑隠席」「枡床席」
聚光院と茶道三千家の関わりを最も如実に伝えるのが、共に重要文化財である「閑隠席」と「枡床席」の二つの茶室だろう。
「閑隠席」は千利休150回忌の際に表千家7代如心斎の寄進によって建てられたもので、ここで朝茶が開かれたことが記録にも残っている。利休の精神を汲み、明かりが極度に制限され、簡素で緊張感のある設えが特徴的だ。3畳と狭く、床柱には真っ直ぐな赤松皮付を使用。
対して閑隠席と水屋を隔てて隣り合う「枡床席」は4畳半とやや広く、その半畳は踏込み式の床の間となっている。
重要文化財の書院・千住博筆『滝』
平成25年に落慶した「聚光院書院」には、世界的に活躍する日本画家・千住博の障壁画『滝』を展示。
日本を代表する建造物と作品の美しさを、その目で確かめてみては。
【国宝】狩野永徳・松栄筆 本堂障壁画、【重要⽂化財】本堂、茶室「閑隠席」「枡床席」【名勝】⽅丈庭園「百積の庭」、書院(千住博筆襖絵「滝」)の特別公開
公開期間:9月3日(土)~2023年3月26日(日)
公開時間:9時~16時予定(最終受付)
料金:2,000円
公開形式:時間と人数を区切ってグループ拝観(ツアー形式)予約優先(京都春秋HPもしくは電話受付。詳しくはHP参照)
京都春秋:https://kyotoshunju.com/?post_type=temple
(IKKI)