中部山岳国立公園「白船荘 新宅旅館」の白濁の良泉を満喫

「3日入れば、3年風邪をひかない」と言われる霊泉的効能の高い白骨温泉。湧き出たばかりは透明な温泉が時間の経過とともに乳白色になり、硫黄と炭酸を多く含むためぽかぽかとよく温まる温泉だ。

 

年の瀬に白骨温泉の「白船荘 新宅旅館」に宿泊した。

広い駐車場へ車を停め、玄関に向かうと新宅旅館の提灯と門松が迎えてくれた。

 

ロビーラウンジでは、ほうじ茶と温泉粥のお焼きをいただいた。刻んだ野沢菜入りの香ばしく焼けたお焼きが素朴で味わい深い。

 

客室は本館の「鳳雲閣」、新館の「紫雲閣」と「渓山館」の3棟からなり、和室、次の間付き和室、温泉露天風呂付客室、洋室などのタイプが揃う。

 

宿の敷地に湧く自家源泉「あらたまの湯」は源泉温度49.8度、湧出量は毎分250リットルと豊富。すべての浴槽に源泉掛流しで注がれ、飲泉も可能。

大浴場は男女別に内風呂と露天風呂があり、どちらも24時間利用できる。

 

檜造りの内風呂は広々とした浴槽に白濁した温泉が縁からタプタプと静かに溢れ出ている。湯に体を沈めれば、体の表面に気泡がびっしりと付く。炭酸を多く含み、温まる温泉だ。

体が温まったところで、外気を感じる階段を上り露天風呂へ移動する。露天風呂の湯は空の色が映り込んでいるのか青みがかった美しい湖のような色をしていた。木々に囲まれた大自然の中の大きな湯舟に滔々と注がれる温泉の雪見風呂は1年の疲れもすっかり癒えるよう。

貸切湯は「すもも」と「こなし」のふたつ。

 

内湯と露天風呂のある「こなし」は予約がいっぱいだったので「すもも」の湯を拝借。湯舟の縁に温泉成分がびっしりと付く良泉を満喫した。

 

夕食は食事処「山家」の個室に和会席料理が用意された。掘りごたつ式のテーブル席に食前酒の「杏子酒」、先付、前菜などが並んでいる。

 

ドリンクメニューには地酒や梅酒が充実の品ぞろえ。好きな梅酒を3つ選べる利き酒セットをお願いした。

 

陶板焼きの朴葉の中身は黒毛和牛、舞茸、獅子唐、パプリカ、バター。これを味噌焼きにする。

 

俵型の揚げ物はオリジナルメニューの「温泉粥コロッケ」。カリッとした食感の皮と熱々の温泉粥がいい塩梅。

テーブルの真ん中にある鍋は信州名物とうじ蕎麦の汁。小盛の蕎麦をとうじ籠に入れ鍋にさっとくぐらせていただく郷土料理。

 

朝食も同じ個室に用意され、おいしいおかずが並ぶので温泉粥がスルスルとたくさんいただける。

 

加熱、加水、消毒、循環ろ過なしの源泉100%掛け流しの温泉と郷土色豊かな温かみを感じる食事、温泉を利用したオリジナルメニューなど情緒溢れる宿であった。

 

住所:長野県松本市安曇白骨温泉

新宅旅館:http://www.shintaku-ryokan.jp/

 

(小椚萌香)