Arles(アルル)はローマの遺跡やゴッホ縁の地という事で観光客が多く訪れる街だが、街自体の規模は大きくなく、ぶらりと巡るのにちょうど良いオススメの場所だ。
広くない街に多くの観光客が訪れるので、カフェやレストランは当然混み合う。そんな中で、地元の人達も利用しているレストランを見つけた。
街に入って割りとすぐ、大きなプラタナスの木が生い茂る広場の一角に、そのレストラン「Le Voltaire」はある。上の階はホテルとなっており、賑やかな広場とは違って落ち着いているので、とてもホッとする。
好きな料理が頼めるアラカルテもあるが、せっかくのランチなのでオススメの「Menu(ムニュ)」を頂く。ムニュは大抵「前菜&メイン&デザート」となっているので、頼みやすくリーズナブルだ。
Entrée(前菜)は緑の葉物、トマトがたっぷりのグリーンサラダ。南仏は暖かい地域であり、新鮮な野菜が沢山食べられるのでビタミン不足に陥りがちな旅行者にはとてもありがたい。
Plat(メイン)は大きなラザニア。南仏は食文化的にイタリアやスペインの影響をとても受けているらしく、ラザニアやパスタ、またヨーロッパでは珍しいタコを食べる習慣もある。
中の挽肉は脂っぽくなく、何とも言えないハーブの香りがとても良くて食べやすかった。さすがはハーブの産地、南仏らしい味付けだ。
最後にしっかりとDessert(デザート)を食べるのも南仏らしい所。そしてコーヒー(多くはエスプレッソ)で締めくくる。
しかしデザートに、メインのラザニアがもう一度来たのかと疑うような大きさのミルフィーユが出されてびっくり。驚きの声をあげると、店主のおじさんが笑って「良いデザートタイムを!」と言ってくれた。
ざっくりとしたパイ生地に、程よい甘さのカスタードクリーム。大きくても食べきってしまう美味しさだった。
観光客に人気の店を訪ねるのも良いが、こういった地元の人達が通う店もいい。明るい宿屋のおじさん、おばさんといった家庭的な雰囲気のレストランでホッと一息。
心温まる優しいもてなしが、とても嬉しかった。
(田原昌)