新年度を前にすると、オフィスで使う雑貨などを新調したくなってしまう。今回は、一生モノとして使えるおすすめの高級万年筆を5つ紹介したい。
目次
・日本の伝統的な漆芸、上品な仕上がりが際立つ最新万年筆
・英国が誇るブランド「PARKER」、135周年記念の特別モデルを販売
・ドイツ発のブランド「ディプロマット」、待望の新商品登場
・アイヌ模様を万年筆に、日常生活に溶け込むようなデザイン
・老舗革製品会社の「ガラスペン」、シンプルと実用性を両立
日本の伝統的な漆芸、上品な仕上がりが際立つ最新万年筆
セーラー万年筆は2023年11月、日本の伝統美と職人技術を称えるシリーズの第4弾「伝統漆芸 麗 青森 風雅文塗万年筆」を発売した。このシリーズは、日本各地の伝統的な漆芸と独自性を持つ逸品だ。
「伝統漆芸 麗」シリーズは2019年から始まり、日本各地の漆器産地の美しい技術を取り入れてきた。第1弾では「輪島 曙塗」、「輪島 溜塗」、「津軽錆塗」などが発売され、その後も岩手、石川、福井などの地域をテーマにした作品が登場した。
第4弾の青森・津軽地方では、寒冷な気候のため漆の扱いが難しく、独自の「変り塗」と呼ばれる技法が生まれた。この技法は漆と他の素材を組み合わせて表情豊かな装飾を施しており、中でも「研ぎ出し変り塗」は、数十回にわたる塗り重ねによって堅牢で美しい仕上がりを実現させている。
「風雅文塗」は、この津軽の伝統技法を基にしつつ、さらなる工夫と独自性を追加。漆の塗り重ねによって生まれる様々な趣と表情が、日本人の奥ゆかしさや上品さを表現した。
商品は常盤色と落栗色の2色展開で、21金のペン先や黒檀の蓋・胴、青森風雅文塗の装飾が施されている。また、カートリッジインクブラックや専用の一本袋、クリーニングクロスなども付属している。
「伝統漆芸 麗 青森 風雅文塗万年筆」は、単なる筆記具にとどまらず、日本の美意識と職人の魂が息づく作品として多くの人を魅了するだろう。
伝統漆芸 麗 青森 風雅文塗(ふうがもんぬり)
価格:165,000円(税込)
商品詳細ページ:https://sailorshop.jp/products/10-8836
英国が誇るブランド「PARKER」、135周年記念の特別モデルを販売
英国の高級筆記具ブランド「PARKER(パーカー)」は2023年夏、創業から135年の節目を記念した特別なモデル「デュオフォールド135 スペシャルエディション」を発売した。この特別モデルは、同ブランドの歴史を物語るクラフトマンシップと革新、そして品質へのこだわりを象徴している。
同ブランドは、1888年にジョージ・S・パーカー氏によって創業された。100年以上にわたる歴史を紡ぐ中で重視されてきたのは、製造工程における手作業による組み立てと厳格な品質検査で、細部にまでこだわることで最高の書き心地を実現させた。
今回の特別なモデルは、フラッグシップモデル「デュオフォールド」のスペシャルエディションとして発表され、最高峰の品質とデザインを体現。創業者のパーカー氏の「優れたペンを作り上げる」という信念を受け継ぐ熟練の職人たちの手によって、一つひとつ丁寧に手作業で組み立てられている。
天冠とボディには、135周年のための特別なデザインが施された。これは同ブランドの職人技と卓越性から生まれた独自の哲学を表現したものであり、創業の精神とクラフトマンシップを象徴している。
「PARKER」の万年筆は、全国の取扱店舗で購入することができる。洗練された「デュオフォールド135 スペシャルエディション」を手に入れて、極上の書き心地とデザインを堪能してみてはいかが。
デュオフォールド135 スペシャルエディション
価格:187,000円(税込)
商品詳細ページ:https://www.parker-japan.jp/135th-anniversary
ドイツ発のブランド「ディプロマット」、待望の新商品登場
ドイツの筆記具ブランド「ディプロマット」から待望の新製品「エクセレンスA2オキサイド」が誕生した。この万年筆は、同ブランドの伝統的なデザインと高品質な製造技術を踏襲しつつ、アンティークのような風合いと魅力的な色合いを実現させたのが魅力だ。
同ブランドは、1922年にドイツ西部・ヘンネフで創業され、その歴史は100年以上にわたる。当初から最高品質と精密な職人技術にこだわり、真鍮やアルミを使用した重厚な万年筆を作り上げてきた。
今回の新製品は、その名の通り酸化を利用して金属の独特の色合いを表現。「オキサイド ブラス」と「オキサイド アイアン」の2つのカラーバリエーションがあり、「オキサイド ブラス」は、真鍮をわずかに酸化させることで、上品で落ち着いた金色を演出した。
一方、「オキサイド アイアン」は、真鍮を長時間酸化させることで、深みのあるグレーカラーを作り出し、鋼鉄のような風合いを持っている。どちらのモデルも微細な横線模様が光を反射し、エレガントで洗練された印象を与えてくれる。
万年筆は両用式で、14金ペン先が採用されており、エクストラファイン、ファイン、ミディアム、ボールドの4つのペン先から選択できる。素材は真鍮で、製造はドイツで行われる。
「ディプロマット」の歴史と伝統が生み出す「エクセレンスA2オキサイド」は、筆記体験をより特別なものにしてくれるだろう。
エクセレンスA2オキサイド
価格:69,300円(税込)
商品詳細ページ:オキサイド ブラス/https://item.rakuten.co.jp/pellepenna/1958180-183/
オキサイド アイアン/https://item.rakuten.co.jp/pellepenna/1958190-193/
アイヌ模様を万年筆に、日常生活に溶け込むようなデザイン
2020年、北海道・二風谷エリアのアイヌ文化や技術を活かした新しいモノづくり「Nibutani Ainu Craft Project(二風谷アイヌクラフトプロジェクト)」が始動した。このプロジェクトでは、アイヌの精神を守りながら現代のライフスタイルに合った万年筆などの商品開発が行われている。
二風谷エリアでは、アイヌ文化を継承するためチセ(伝統的家屋)の復元やアイヌの暮らしを次世代に伝える取り組みが行われている。その一環として行われたのが、今回のプロジェクトだ。
2022年2月に発売されたアイテムは、「暮らしにとけこむアイヌデザイン」のテーマにしており、アイヌ文化を現代の生活に溶け込ませている点が魅力の1つだ。その中でも特に注目されるのが、「inuye(イヌイェ)」と呼ばれるアイヌ文様を掘り込んだ万年筆だろう。
「inuye」はアイヌ語で「彫る、彫刻する、書く」を意味しており、アイヌ工芸の一つである「マキリ」に彫刻されたアイヌ文様が特徴だ。二風谷のアイヌ工芸家である貝澤守氏が伝統的なアイヌ文様を施し、クリエイターの感性でアレンジを加えられている。
この万年筆には、アイヌの贈る・受け継ぐ文化が込められており、男性が女性にプロポーズする際に贈られるマキリのような意味を持つ。日常や人々の生活に馴染んだ独特なアイヌの文様は、見ていて飽きることはないだろう。
商品はナチュラルとホワイトの2色。「inuye」を生活に取り入れて、アイヌの魅力を感じてほしい。
inuye(イヌイェ)
価格:22,000円(税込)
商品詳細ページ:https://shop.nibutani-ainucraft.com/items/56186090
老舗革製品会社の「ガラスペン」、シンプルと実用性を両立
東京都足立区に本社を構える老舗の革製品製造販売会社・土屋鞄製造所は2022年、ガラス器の専門店「TSUCHI-YA(つちや)」をプロデュースし、「ガラスペン」の発売を開始した。この商品は、切子などの装飾が施されており、シンプルで優雅なデザインと実用性を兼ね備えている。
デザインを手掛けたのは、土屋鞄の元ランドセル職人であり現在はガラス職人として活躍する駒﨑裕太郎氏。手になじみやすい三角形の形状と耐久性に優れた硬質ガラスを採用し、最小モデルで14グラムと軽量ながらも、ホウケイ酸ガラスを使って割れにくい商品にした。
「ガラスペン」は3つのモデルが販売されているが、注目すべきは「ガラスペン 三角 切子螺旋」だろう。このペンは名前の通り、ガラス管の断面が三角形であり、職人によって丁寧に加工されている。
ペンの形に仕立てるためにガスバーナーで熱され、上部には緻密な模様や螺旋状のカットが施された。全ての加工作業は手作業で行われ、職人の技術が光る逸品となっている。
また、ガラスの透明な美しさが際立つように設計されており、光の反射で切子の模様やねじり部分が輝きを放ち、書く時間をより豊かなものにしてくれる。
万年筆インクにハマる人の間で高評価の「ガラスペン」で、新鮮な書き心地を試してみてはいかが。
ガラスペン 三角 切子螺旋
価格:16,500円(税込)
商品詳細ページ:https://tsuchi-ya.jp/collections/all/products/%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%B3%E4%B8%89%E8%A7%92-%E5%88%87%E5%AD%90%E8%9E%BA%E6%97%8B?variant=41187274686512
高級万年筆は、一度購入すると一生使い続けられるアイテムばかりだ。今回の記事でお気に入りの一本を見つけてもらえたら幸いだ。
(永井瑞穂)