ラグジュアリーな体験が、地方のイベントの在り方を変えていくかもしれない。
今夏はコロナ禍による規制が緩和され、全国的にイベントが再開。8月2日(火)〜8月7日(日)には、青森ねぶた祭が2年ぶりに開催された。
同祭では、1日1〜2組限定の20万円席、100万円席のプレミアム観覧席が販売されて完売し、メディアでも注目を集めた。本記事では、同席の利用者のコメントなどもあわせて紹介していこう。
プレミアム観覧席で祭を活性化する新たな取り組み
今回の取り組みは、地元企業であるオマツリジャパン社と青森県庁との共同企画により実現し、8月6日(土)のYahoo!のトップニュースにもなった。プレミアム観覧席の収益は、地域経済や青森ねぶた祭の担い手に還元し、持続可能な循環モデルを創出する。
地元産グルメを楽しみながら東北を代表する祭りを体験
プレミアム観覧席は、8月5日(金)、6日(土)に販売された。当日は、ホテル青森の敷地内に設けた横5.5m、奥行き7.2m、高さ2.5mの、2階建ての大型桟敷席からねぶたを見渡せる特別な体験を提供。
1日2組の20万円席を利用できるのは最大人数1組4名まで。青森県の厳選したお酒と食のペアリング、ホテル青森館内施設も利用できる席だ。
1日1組の100万円席は、最大人数1組8名まで利用可能。当日は20万円席の内容に、座席専属コンシェルジュ、ねぶた師との懇談がプラスされた。
100万円席の利用客は地元特産のお酒や食事を楽しみながら、同席したねぶた師による解説に耳を傾け、目の前をねぶたが通過する度に写真におさめながら、大きな拍手を送っていた。ねぶた師は、5日(金)は手塚茂樹氏、6日(土)は竹浪比呂央氏が担当した。
プレミアム観覧席の利用者の声
実際に利用した人からは「人混みを気にせず快適な空間で、ねぶた師からの詳しい解説を聞きながら新しい視点で祭りを体験できた」と好評だった。「有料で観覧することで、同祭に参加にしているような体験ができた」という声もあった。
ここでは、利用者のコメントを抜粋して紹介しよう。
「ねぶた祭はテレビや新聞で見たことがあったものの、本物は全く違い、感動しました。100万円は高いという人もいるかもしれませんが人生一度きり。この席であれば祭りを最大限楽しめると思いました。」(東京、40代男性、100万円席)
「3年ぶりのねぶた祭で、かつ売上金も寄付ということなので、自分たちも楽しめて地元のためにもなるということで利用させてもらいました。青森ねぶた祭だけではなく、こういった取組みが色んなお祭りで当たり前になり、各地方の活性化に繋がればいいなとも思いました。」(青森、40代男性、20万円席)
青森ねぶた祭から全国の祭を盛り上げていく
日本の多くの祭りは今、様々な理由から存続の危機にあるという。その理由のひとつに、祭り自体や担い手への資金の還元不足が挙げられる。
そこで今回、祭りの付加価値を高めて収益化し、祭りの文化を守り発展させていくことを目的に、「青森ねぶた祭」をモデルケースとしてプレミアム観覧席プランの販売実証を行った。
青森ねぶた祭から全国の祭へ。多くの人に親しまれてきた、日本の伝統である祭が、持続可能な形に変化していく転換期を迎えているのかもしれない。
青森ねぶた祭 夏の灯(ひ)と宴
特設サイトURL:https://omatsurijapan.com/special/nebuta_hitoutage
(hachi)