世界初!シャブリワインをイメージした楽曲「シャブリ・シンフォニー」を聴いてみよう

去る5月末日、ブルゴーニュワイン委員会は、シャブリ(Chablis)ワインをイメージした楽曲「シャブリ・シンフォニー」を発表した。現在、公式サイトにて視聴が可能になっているので、シャブリワインとともに聴いてみては。

シャブリワインの多様性を音楽で発見

シャブリワインの原産地は、フランス東部のブルゴーニュ北部。単一ブドウ品種「シャルドネ」で造られる4種のアペラシオンで構成される白ワインで、他の産地にはない繊細さが特徴だ。日本は金額、分量とともに、同ワインの輸出先として第3位の市場となっている。

「シャブリ」という名称の知名度もあり、シャブリワインの純粋さやミネラル感については日本でも多く語られてきた。しかし今回、人々にシャブリのもつ“多様性”や“多彩な味わい”に改めて着目してもらい、より深い理解につながるよう新しいアプローチを試みた。それが、初となる「音楽」だ。

シャブリの4つのアペラシオン、4曲からなる「組曲」

「シャブリ・シンフォニー」は、作曲家・松波匠太郎氏が創作を手がけた。同氏はソムリエ・近藤佑哉氏とともにシャブリワインの試飲をし、世界初となる楽曲を完成させた。

今回の楽曲作成の際に試飲したワインは、「プティ・シャブリ、2019 ドメーヌ・ビヨー・シモン」「シャブリ、サンマルタン、2019、ドメーヌ・ラロシュ」「シャブリ・プルミエ・クリュ、コート・ド・レシェ、2019、ドメーヌ・ダニエル・ダンプ・エ・フィス」そして「シャブリ・グラン・クリュ、ヴォーデジール、2019、ドメーヌ・ジャン=ポール・エ・ブノワ・ドロワン」の4種類となっている。

この組曲は、それぞれの独立した短い4曲で構成。それぞれに各アペラシオンの名前が付けられ、四重奏で演奏する。

組曲全体を牽引する1曲目「プティ・シャブリ」

「プティ・シャブリ」はポートランディアン期の石灰質土壌に植えられ、若いうちが飲み頃のワイン。

作曲家のコメント曰く、「軽やかで明るく、若々しい溌剌さが魅力、メインの楽器は、ヴァイオリン」。他のアペラシオンの「末娘」の位置づけ。燃えるような、でもちょっと無茶をする。この勢いが組曲全体を牽引していく。

2曲目「シャブリ」はピアノ

「シャブリ」の大部分は、キンメリジャンの石灰質土壌の斜面に植えられ、純粋さ、爽やかさとミネラル感が特徴。

作曲家は、「バランス良くオーソドックス、親近感、普遍的、メインの楽器はピアノ」という。テンポはモデラート(中くらい)で安定している、より「クラシック」な雰囲気。このため、親しみやすいピアノで表現したそうだ。

3曲目「シャブリ・プルミエ・クリュ」はクラリネット

「シャブリ・プルミエ・クリュ」は、シャルドネが個性豊かなクリマを表現するワイン。

「明らかな丸み、深く、しなやか、メインの楽器はクラリネット」と、作曲家は語る。シャブリワインの階段を登り続けている。落ち着いたテンポの中、複雑に絡み合う弦を背景に、クラリネットの滑らかな旋律が歌われる。

フィナーレを華々しく飾る4曲目「シャブリ・グラン・クリュ」

「シャブリ・グラン・クリュ」は、スラン川右岸の主に南や南西向きの日当たりのいい急斜面に植えられ、優美なワインになる条件がそろっている。

作曲家は「頂点、より深く、輝かしい、メインの楽器はチェロ」とコメント。落ち着きの中にも威厳があり、チェロの持続に支えられ、曲は力強く奏でられる。ここまでのテーマが随所に散りばめられ、組曲全体のフィナーレを華々しく飾る。

左から近藤佑哉氏、 佐野隆哉氏、吉田誠氏、上村文乃氏、川久保賜紀氏、松波匠太郎氏

左から近藤佑哉氏、 佐野隆哉氏、吉田誠氏、上村文乃氏、川久保賜紀氏、松波匠太郎氏

この楽曲を通して、4つのアペラシオンが持つ個性や豊かさを聴覚、嗅覚、味覚から感じ取り、シャブリワインの真髄を体感してほしい。

シャブリ・シンフォニー公式サイト:https://bit.ly/chablis_symphony_link

(田原昌)

※本音源は演奏会の録音となるため、一部会場音などが含まれる