壊れたりデザインを変えたい家具をリメイクしてくれる職人が久留米市にいる。
YOAKEは古家具や端材を回収し、新しい家具や雑貨へと甦らせる、リメイクサービスをスタートした。
■福岡県・久留米市の家具ブランドYOAKE
YOAKE(ヨアケ)は、福岡県久留米市蛍川町でスタートした家具工房。
日本の伝統技術を施すことで構造的に長く使える耐久性を持ちながら、添田晨氏が生み出すオリジナルのデザインは、「どこか懐かしさを持ちながらも新しい」。
2020年、隈研吾氏などが審査員を務める「JAPAN WOOD DESIGN AWARD 2020」では、文字を「打つ」ようになった現代社会に対して「書く」文化を見つめ直す意味を込めて創作した「木硯 Mokken」を発表し、優秀賞(林野庁長官賞)を受賞。
一歩距離を置いた場所から、社会と向き合い続けながら家具づくりを行う。
■リメイクの可能性
コロナ禍で「在宅時間」が増え、日常の暮らしを見つめ直す機会が増えた。
YOAKEでもオリジナル家具やオーダーメイドでの家具製作や家のリフォームといった、居住空間全体に関する相談も増えた。
ところが新型コロナウィルスの影響を受け、木材が軒並み値上がりする事態となり、木材の高騰・品薄は「ウッドショック」としてニュースに報じられるほどで、輸入木材価格が半年で通常の1.5倍、それに併せて国産材も急騰。
そのため、値上げせざるを得なかったり、通常の価格や納期では難しくなってきた。
そんな中、たまたまリフォームを依頼している家主の方と話の中で、親世代から住んでいる家屋を解体することに、楽しみな反面少し寂しい気持ちがあることを知る。そこで、解体した床の端材を使って家具を作るのはどうかと提案した所、大変喜んでもらえた。
「在宅時間」が増えたことをきっかけに、家具を買い替えてもらえるのは、家具屋にとって喜ばしいことだが、大量の廃棄物が出ては、どこか喜べない気持ちが残る。
「リメイク家具」という選択肢が増えることは、廃棄物の削減やウッドショックに対する経済的な事情をカバーするというだけでなく、思い出を目に見える形で残すという価値を持つ可能性がある。
■リメイク家具サービスの開始
「修理」とは異なり、家具や端材の一部分を活かしながら、足りない部分を新たにデザイン・製作して付け加える過程が生じる「リメイク」。その特殊性ゆえ、高い技術力と、素材を活かす発想力が求められる。
YOAKEは常に幅広い木材を扱っており、多種多様な木の特性を知り尽くしていることからも、リメイクは非常に得意とするところだ。希望する用途・サイズ・イメージ・予算などを綿密にヒアリングし、それをもとに添田氏がデザインを描く。
家具もリメイク内容もすべて異なるため、一点一点やりとりを重ねながら図面を完成させていく工程は、オーダー家具製作に似ているが、すでにある部材を活かしながら依頼者の意向も汲みつつ、いかに美しく機能的に仕上げるかがセンスの見せ所。
「世代を超えて、人生が豊かになる家具ブランドをつくる」という理念を持つYOAKE。大切な家具は、希望に沿うものにリメイクしてくれる職人に任せたい。
YOAKE:https://yoakekagu.com/
(MOCA.O)