昭和レトロな温泉銭湯 閉業した銭湯のタイル絵を活用したテラスをオープン

何もしなければ消滅していく庶民の文化。銭湯も消えゆく文化の一つだ。

埼玉を中心に、銭湯ならではの文化を遺していくべく取り組んでいる人々がいる。

■昭和レトロな温泉銭湯 玉川温泉

2011年に創業した「温泉道場」は、埼玉県を中心に「おふろから文化を発信する」の企業理念の下、業界での新たな価値創造、地域活性化への貢献、人材の育成を目指して活動している。

埼玉県比企郡ときがわ町にある昭和レトロな温泉銭湯 玉川温泉は、温泉道場が運営している。

温泉銭湯 玉川温泉に4月29日にオープンする「銭湯喫茶 玉川テラス」は、昨年惜しまれつつも閉業した川越市の最後の銭湯「旭湯」等、近隣の閉業銭湯のタイル絵を活用したスペースだ。

■日本のおふろ文化を後世に遺したい

2021年3月に川越市で戦後から77年続いた最後の銭湯「旭湯」が閉業。その話を一年前に聞いた玉川温泉は、日本のおふろ文化を後世に遺したいとの思いから「旭湯」店主に頼み備品を譲ってもらい脱衣場などで再利用してきた。

また、その活動を知った熊谷市の「朝日湯」の常連から「ぜひ熊谷の朝日湯の面影も残してほしい」という話をもらい、川越「旭湯」と同様に備品を譲り受けることになった。

「旭湯」「朝日湯」共に、昔の職人たちの手仕事による銭湯ならではのタイル画があったが、解体により壊されてしまうと聞く。それらを何とか残せないものかと考えた結果、自分たちの手で一枚一枚タイルを剥がし、組み直して一枚の絵のように仕上げることにした。

このように救出した品々を利用して、玉川温泉の「玉川テラス」を改装。テラスの壁には銭湯には欠かせない「ペンキ絵」も新設。日本で3人しか残っていない銭湯絵師の一人・田中みずき氏による作品で、絵の中には地元ときがわ町の自然と川越の「旭湯」、熊谷市の「朝日湯」が描かれている。

「玉川テラス」は新しい休憩処として利用でき、今後は軽食も提供予定だとか。

消えていった銭湯のタイルや、消えゆく文化である銭湯ペンキ絵に囲まれて風呂上がりにくつろぐ時間は、至極のリラックスタイムとなりそうだ。

昭和レトロな温泉銭湯 玉川温泉

住所:埼玉県比企郡ときがわ町玉川3700
温泉道場:http://onsendojo.com/

(冨田格)

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