ザルツブルク駅を出て新市街を通り、ザルツァッハ川にたどり着くころ見えてくるのが「Festung Hohensalzburg(ホーエンザルツブルク城塞)」である。
小高い山の上にそびえ立ち、ザルツブルクの街を見下ろしているその姿は威厳があり、まさに「中世の城」といった趣だが、ここは「Festung」とあるように城ではなく城塞、もしくは砦なのだ。何故ならここは大司教が11世紀に建造した城塞であり、住んでいたのは代々城主ではなく大司教だったからである。
こんな城のような頑丈な場所に住まなくてはならないとは、大司教も大変なものだと思うが、実際に15世紀に起こった農民戦争で包囲されても陥落しなかったのだそうだ。
さて、ホーエンザルツブルク城塞へは頑張って徒歩で登るか、「FestungsBahn」というケーブルカーで一気に登ることができる。
城塞にたどり着いたら、オーディオガイド付きのチケットで中を巡ってみよう。オーディオガイドはちゃんとした日本語もあるので安心だ。
中に入ると、つながった城塞をぐるりと一周巡るような形になっている。城塞らしくいくつもの階段や部屋、武器庫などを巡っていく。博物館としての史料も多く展示されているので、それらも見学していこう。
大司教が住んでいたという「Goldene Stube(黄金の間)」は、豪華絢爛で美しい一室。
壁から天井から、全てが美しく飾られていて、なかなかの税収だったのでは…という、大司教たちの贅沢な暮らしぶりについて考えてしまう。
途中、塔に登って外に出られる箇所がある。ここからの景色は本当に素晴らしい!
ザルツブルクの街を見渡すことができ、また背後にはアルプスの山々が広がっている。心地いい風が吹いて、しばらくここにいたいと思うほど。ぜひ360度の大パノラマを堪能しに立ち寄ってほしい。
最後に長い廊下を歩いていくと、パイプオルガンがあった。これは「Salzburg Stier(ザルツブルクの雄牛)」と呼ばれるパイプオルガンで、これで街に時刻を知らせていたのだそうだ。
オルゴールのような突起がついたシリンダーがあり、機械仕掛けになっているらしい。
大司教たちの贅沢な暮らしに感心しつつ、彼らによって発展したザルツブルクの街を眺められる絶好のスポットだった。ぜひとも訪れたい名所である。
(田原昌)