支笏湖畔に佇む秘湯の宿「丸駒温泉旅館」

日本有数の透明度を誇る支笏湖のほとりに「丸駒温泉旅館」は大正4(1915)年に創業した。

陸路が開通するまでは船が唯一の交通手段であったが、現在は支笏湖畔沿いを通る国道453号から丸駒温泉旅館まで続く北海道道730号丸駒線で結ばれている。支笏湖を左手に眺めながら道を進むとやがてぽつりと温泉宿が現れる。

 

客室は和室・和洋室・支笏湖を一望できるテラスを備えた特別室が揃う。

 

宿泊した部屋は湖水側の和室。広縁から支笏湖の雄大な景色が望めるすっきりとした部屋だ。

 

男女別の大浴場は内湯と展望露天風呂、大浴場から続く渡り廊下の先に創業当時からある足元湧出の天然露天風呂。

 

丸駒温泉旅館名物の天然露天風呂は支笏湖の水位と同様に季節によって深さが上下する。湯温は水路に敷いた砂利の量で湧出する温泉の湯量の調整を手作業で行うという。

目の前の湖と対岸にそびえる雄大な山々を眺めながらの湯浴みは格別。

 

貸切湯は木曽檜造りの露天風呂と信楽焼の陶器の露天風呂のふたつ。

 

食事前に貸切湯に向かうとすでに日が暮れ景色は夕闇に紛れていた。

湖面に光を落とす月があがり、湖畔に街灯がほとんど見当たらないので大きな湖は凪いだ海のような不思議な感覚の中での入浴を楽しんだ。

部屋でいただいた夕食はつぶ、サーモン、イクラ、ホタテ貝、ルスツ産もち豚、蟹など北海道産の食材を多用する和会席。

 

朝食は「日本秘湯を守る会会員宿」には珍しい食事処での和洋ビュッフェ。オムレツはオーダーしてできたてをいただけるシティホテル並みのサービスも。

 

支笏湖を眺めながら名残惜しくも次の目的地へ出発した。

 

住所:北海道千歳市支笏湖幌美内7番地

丸駒温泉旅館 公式サイト:http://marukoma.co.jp/

 

(小椚萌香)