ハイボールブームの一歩先へ。ボブさん直伝「ウイスキーの本気の楽しみ方」

時代の流れとともに、お酒のトレンドも変わっていく。

ここ数年は、カロリーオフを意識した食生活や、爽快感を得られる「強炭酸ドリンク」が注目を集め、そうした流れの中で今空前のブームとなっているのがハイボールだ。

スッキリとした味わいはあらゆる料理と相性が良く、飽きることなく飲めるので、ハイボールにハマってから「とりあえずビール」という考えを改めた人もいるだろう。

せっかくハイボールの美味しさに気付いたのなら、さらに深く掘り下げて、ウイスキーの魅力に触れてみたくはならないだろうか?

今回は、ウイスキーのことを知り尽くしたとある人物に、その楽しみ方を聞いた。

ウイスキーを愛して19年のニューヨーカー“ボブさん”

高級洋酒を扱うMHD(モエ ヘネシー ディアジオ)社のシングルモルトアンバサダーとして活躍するロバート(ボブ)・ストックウェル氏。

「ボブさん」の愛称で親しまれる、業界の有名人だ。

ニューヨーク出身のボブさんは、大学時代を日本で過ごした際、学校の先輩からウイスキーを教えられ、その味に魅了された。

そして、卒業後はスコットランドを旅して、TALISKER (タリスカー)やGLENMORANGIE(グレンモーレンジィ)、ARDBEG(アードベッグ)といったメーカーの蒸溜所を渡り歩き、ウイスキー作りを学んだという、恐るべきバイタリティーの持ち主だ。

そんなボブさんが特に愛してやまないのが、自身も蒸溜所で修行したタリスカー。

スコッチウイスキーの中でも一際特異な存在感を放つタリスカーとともに、ボブ流「究極のウイスキーの楽しみ方」を伝授してもらおう。

ボブ流「究極のウイスキーの楽しみ方」

ハイボールは美味しく飲めても、ウイスキーには今だに苦手意識があるいう人は少なくないだろう。

そんなあなたは、もしかするとまだ自分に合うウイスキーに出会っていないか、ウイスキーの「正しい楽しみ方」を知らないだけなのかもしれない。

ウイスキーを楽しむための第一歩としては、やはり「正しい楽しみ方」を知る必要があるだろう。

ボブ「私が考える『究極のウイスキーの楽しみ方』、ポイントは4つあります。ポイントを紹介する前に、まずは基本的なグラスの持ち方からお覚えしましょう。テイスティンググラスで飲む場合、必ずベースの部分を持ってください。ボウルの部分に指が触れていると、そこから熱が伝わり、ウイスキーの繊細な香りが飛んでしまいます。」

1. 色を楽しむ

ボブ「テイスティンググラスを持ったら、まずは色を楽しみます。ウイスキーは、樽で熟成される際に無色透明から美しい琥珀色へと変わります。熟成期間によって色の濃さも変わるので、色からそのウイスキーのストーリーをイメージすることができるでしょう。色を見るときは、腕を伸ばしてグラスを自分の体から離し、グラスを10時の方向に傾けます。そして、自分の頭をグラスと逆に傾けます。こうすると、ウイスキーの色が見えやすくなるし、しかも、どう?カッコよくキマるでしょ?さらに片方の手をポケットに入れればパーフェクト。

ボブ「そして、一度スワリングした後でグラスを見てみましょう。グラスの周りに残る“ウイスキーの涙”を「レッグ」といいますが、これを見ることで、熟成感やアルコール度数を確認できます。熟成が進んでいたり、アルコール度数が高いほど、ウイスキーがグラスの側面からゆっくりと下に落ちていくので、レッグはいつまでも残ります。逆に熟成が浅くアルコール度数が低いと、ウイスキーが早く下に落ち、レッグはすぐになくなります。」

2. 香りを楽しむ

ボブ「続いて香りを楽しみます。まずは、スワリングしてウイスキーを空気に触れさせます。これはウイスキーにとって“準備運動”のようなもの。タリスカーの場合、最低でも樽の中で10年は眠っていたわけなので、長い眠りから起こしてあげるような気持ちでグラスを回しましょう。このとき、グラスを回す方向は、右手で持つ場合は反時計回り、左手で持つ場合は時計回りがマナー。こうすることで、勢いよく回して中身が外に出てしまった場合でも、周囲には飛ばず、自分にかかります。」

ボブ「スワリングした直後はボウルの中にエタノールが溜まった状態になっているので、いきなり鼻を突っ込んで匂いを嗅ぐと、ツーンとした刺激で鼻をやられてしまいます。最初は目覚めたばかりのウイスキーに“ご挨拶”をするイメージで、ゆっくりとグラスを鼻に近づけ、何回か通過させます。そうすると、3〜4回で鼻が慣れ、香りを感じられるようになるでしょう。このとき、アルコール度数が高いウイスキーで香りを感じにくい場合、口を開けると刺激が和らぎます。逆に、香りをよりダイレクトに感じたい時は口を閉じるなど、口の開け方で調整してみてください。ちなみにタリスカーの場合、大麦麦芽を乾燥させる時に使われるピート(泥炭)の土っぽく燻したような独特な香りを楽しめます。」

3. 味を楽しむ

ボブ「香りの後は、味を楽しみます。小さな一口を注ぎ入れ、最低でも10秒、口で転がしてみてください。海っぽい香りや、黒胡椒のようなスパイシーさ、そして、その裏側にほのかなフルーティーさ。さらに、少し時間が経つとアルコールが空気に触れ、エステル化することで甘みが際立ってくるので、味の変化も楽しめます。」

4. カッコよく楽しむ

ボブ「最後のポイントは、カッコよく楽しむこと。せっかくウイスキーを飲むなら、やっぱりちょっとカッコつけたいですよね。グラスの持ち方から色を見る時、スワリングやノージング、味わう時と、カッコよくスマートに演出してみてください。」

女性のウイスキーラバーも急増中

ボブ流「究極のウイスキーの楽しみ方」を聞いて、早速挑戦してみたいと思った人は少なくないだろう。

酒の中でも特徴的な味わいをもつウイスキーは、「男性の飲み物」というイメージが昔からあるが、最近は女性ファンも急増中。

むしろ、女性にこそオススメしたいとボブさんは語る。

ボブ「ウイスキーの中でもスモーキーでクセの強いものは、意外と女性の方が最初の受け入れが早いんです。男性の場合、最初は我慢して飲んでいるうちに徐々に美味しさに気付く、という感じですが、女性は味に対する探究心が強い人が多く、『これは面白い!』と、最初から抵抗なくのめり込んだりします。『ウイスキーは男性の飲み物』と決めつけず、ぜひ女性の方にも楽しんでほしいです。」

パーティーシーズンはウイスキーで乾杯

肉料理や、チョコレート、フランボワーズ系のスイーツなど、さまざまな料理とのペアリングも楽しめるウイスキー。

ストレートでボブ流「究極のウイスキーの楽しみ方」を実践するもよし、その他、タリスカーと黒胡椒を使ったアレンジハイボールや、トゥワイスアップのように少量のウイスキーをたっぷりのお湯で割って楽しむもよし。

今年のクリスマスや年末年始のパーティーは、シャンパンではなく、ウイスキーで乾杯してみるというのも面白いかもしれない。

乾杯の掛け声は、スコットランド語で「あなたの健康を祝して」の意味をもつこの言葉。

「slainte mhor(スランジバー)!!」

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