日本は「ぼたん寺」、「あじさい寺」など、「花の寺」として親しまれている寺は多い。
関西では宗旨宗派の垣根を越えて集まった花がご縁となった、25の寺による「関西花の寺二十五か所霊場会」という会ある。
そのうちのひとつ、7月上旬から8月初旬にかけて、法金剛院(ほうこんごういん)は蓮の花が見ごろを迎える。
京都駅から嵯峨野線に乗り、花園駅から徒歩3分。無料駐車場もあり、電車でも車でも交通の便は良い。
花園駅改札を出て駅前を通る県道187号線を横断し左方向に歩いていくと、キチッと刈り込まれた生垣の葉の隙間から青々とした蓮の葉が見え隠れする。
生垣が途切れたところに「関西花の寺 第十三番」と記された木札を掲げた表門が建つ。
門をくぐると左手に鐘楼、先に中門がありその先に拝観受付所がある。
拝観料を納め院内に進めば、目に付くのは書院の前に並ぶいくつもの大きな睡蓮鉢。鉢から勢いよく天に向かって蓮が堂々と葉を広げている。
礼堂(らいどう)に上がり、濡れ縁をくるりと回った裏に控えた仏殿を拝観。
仏殿ではご本尊の「阿弥陀如来坐像」をはじめ「僧形文殊菩薩像」、「十一面観世音菩薩像」など多数の重要文化財の仏像を公開している。
ご尊顔を拝見。ひんやりと感じる空気の中で重々しくも穏やかな表情で佇んでいる。心静かに見入れば、日頃の雑念も少しは洗われただろうか。
仏殿を退室すると屋根の上では、鬼瓦がにらみを利かせていた。
花の庭園は池泉廻遊式浄土庭園で、通路は6月から咲きほころんだあじさいが彩りを放つ。
庭園の見どころのひとつ、巨石を並べた国の特別名勝「青女(せいじょ)の滝」を過ぎ、蓮池へと向かう。
池全面に蓮の葉が生い茂り、白やピンク色の花がちらほらと開き葉色との対比の美しさに見惚れて立ち止まる。満開の時季はさぞ美しい池となることだろう。
通常の拝観時間は9~16時だが、蓮の花期は7時から拝観できる。蓮の花は早朝に開き、7~9時ごろに最も美しいときを迎えるという。できれば7時に赴きたいところだ。
法金剛院は蓮だけでなく、桜や紫陽花、花菖蒲、紅葉もすばらしい。庭師によって庭園は常時美しく整っているので、あえて花の時季を外すのも静かでよいかもしれない。
法金剛院
住所:京都市右京区扇野町49
電話:075-461-9428
(小椚萌香)