「サーディンラン」は、プロジェクションマッピングや新型の照明を取り入れることで、実際に行う事が可能になった。
というのも、ただ群れをなしている姿を展示するのではなく、捕食者から逃げ、大移動を行うというストーリーあってこその「サーディンラン」を映像や光で表現する必要があったからだ。この「サーディンラン」の構想は3年ほど前からあり、ずっとやりたいと思っていたという。
まず、通常の状態はコチラ。縦8m、横12mもの水槽には5万尾のイワシを含め、合計6万尾の魚たちが悠々と泳いでいる。
しかし、ショーが始まると一転、緊迫した音楽と暗い照明へと変わる。それと同時に、イワシの群れの動きは速まり、音楽と照明と映像で約5分間の「サーディンラン」が始まる。それまでの“優雅なひととき”は一瞬にして終わってしまうのだ。
「イワシの見せる輝きや動きに注目して欲しい」というのは飼育技師の安部さん。水槽全体や群れに目が行きがちだが、1匹1匹が輝き、独立した生物であることを忘れてはいけない。
そして、プロジェクションマッピングによる捕食者達の映像が「サーディンラン」にストーリーを与えている。
これは空中から海面に飛び込む捕食者を表現している。一見、邪魔に思える柱だが、これを上手く利用した縦の動きが非常に目を楽しませてくれる。
さらには大型の捕食者も次々に映し出されていく。映像に合わせて効果音ももちろんセットだ。
この水槽には「シロワニ」という大型のサメもいる。実際にイワシを食べてしまう事もよくあるとか。喰うか喰われるかのリアルな世界はここでも繰り広げられている。
普段と同じ水槽を「照明や音楽で演出しているだけ」と思ったら大間違いだ。上下左右から与えられる餌や、光による刺激を活用して普段では見られない動き、「サーディンラン」を表現している。
一瞬しかないイワシの輝きや動きに言葉を失う。
これ以上は実際のショーで体験して頂きたい。
終わると同時に観客から起こった拍手がこのショーの素晴らしさを物語っていた。
約5分のショーだが、わがままを言えばさらに10分は見ていたい、というかいつまでも見ていられると思うのは二度とない動きの連続が飽きを来させないからだろう。
1日3回〜6回行われるショーは、シーパラに来たら間違いなく見るべきプログラムだ。