メルセデス・ベンツの販売が好調だ。2013年は前年を8%上回る総販売台数156万5,600台を達成。グループ全体でも8%増の販売台数となり、純利益は過去最高を記録している。
2014年上半期は前年比12.8%増となる78万3,520台とこれまた過去最高となり、新型Cクラスが投入された下半期も好調なセールスを記録しそうだ。また、メルセデス・ベンツの日本での上半期輸入車シェアは、首位VWの21%に次ぐ16%と堅調に推移している。
好調の要因はなにか。結論を先にいってしまえば、新規顧客の開拓と既存ユーザーの囲い込みに成功したことにほかならない。ダイムラー社のメルセデス・ベンツ・カーズ部門のマーケティング担当者によれば、「ドイツ国内のメルセデス・ベンツユーザーの平均年齢は58歳。しかし、中国ではコレが25歳になる」という。
Cクラスがメルセデス・ベンツのエントリー・モデルだった頃、ドイツでは定年の退職金で買うクルマだとささやかれた時代がある。ダイムラー社にとって、ブランド・イメージの若返りが急務だったのである。
販売台数を押し上げた原動力は、やはりエントリー・クラスの商品力にある。『Aクラス』はスポーティな5ドア・ハッチバックに生まれ変わった。『Bクラス』は室内高を確保し、既存のA&Bクラスのユーザーをターゲットに開発。実用性の高いパッケージが特徴だ。
新規導入された『CLAクラス』はスタイリッシュな4ドアクーペでニッチな需要に応える。Aクラスをクロスオーバー化したSUVの『GLAクラス』は、いまどきのライフスタイルにピタリとはまる。また、日本の車庫事情を考慮し15mm車高を下げた専用のサスペンションを採用したことも功を奏した。
ラグジュアリー・ブランドが作る「プレミアム・コンパクト」というセグメントは、戦略的な価格設定と相まって、今後も需要が高まるだろう。