ウィーンには驚くほどたくさんのカフェが立ち並ぶ。その中にはオーストリア帝国時代から続く老舗もあり、日本人好みのゆったりした時間が味わえる。
ウィーン観光やショッピングの中心となる、シュテファン大聖堂付近。そこに店舗を構える「Gerstner(ゲルシュトナー)」も、1847年創業の老舗カフェの代表格だ。
店名には「k.u.k. Hofzuckerbäcker」という言葉が併記されている。
「k.u.k.」とは「kaiserlich und königlich(皇室及び王国)」の略であり、「オーストリア・ハンガリー帝国」において皇帝が国王を兼ねていたことを表している。
それに「Hofzuckerbäcker」がついて「皇室王室御用達菓子店」という、重たい肩書きになるというわけだ。
この肩書きはゲルシュトナーだけでなく、日本でも有名な猫ラベルのチョコ「Katzenzungen(猫の舌)」を扱っている「Demel(デメル)」などもそのひとつ。どちらもハプスブルク家の紋章である「双頭の鷲」が描かれている。
店内は奥行きのある作りとなっており、地元の人を含め随分と賑わっていた。昼食をとる人、コーヒー片手に談笑する人、昼からワインを楽しんでいる人などなかなかの混雑ぶりである。
有名店なので時間と曜日を考えて狙って行かないと、席に着くのは難しそうだ。
広くて長いガラスケースには、大きなケーキにチョコレート、カップケーキなどがずらりと並んでいる。
美しい見た目はさすがウィーンといった所だが、オーストリアのケーキはチョコレートを使ったものがメインなのだろうか。日本やアメリカのようなカラフルなケーキはあまり見当たらない。
ゲルシュトナーではダークチェリーのパイを食べてみた。
煮詰めたダークチェリーが薄いパイにくるりと包まれている。なかなかの量だったので、人と分けて頂くのがいいかもしれない。
まさにスイーツ天国のようなウィーン。
甘い物が好きな方は是非一度訪れてみたい。
(田原昌)