トンカツやカツレツが好きな日本人にとって、とても馴染みやすい料理「Schnitzel(シュニッツェル)」は、まさにオーストリアの代表料理。
北イタリアからウィーンに伝わったとされるが、ヨーロッパ各国で似たような料理が存在しており、ドイツでも同じく「シュニッツェル」として、チェコでは「ジーゼック」として提供される。
肉を薄く叩き、トンカツのように揚げるのとは違ってカリッと焼き揚げたものがシュニッツェル。
基本的に「Wiener Schnitzel(ヴィーナーシュニッツェル)」と言うと、子牛を使用したものになる。それ以外の豚肉や鶏肉などを使用したものは、表示義務があるそうだ。
シュニッツェルの老舗「Figlmüller(フィグルミュラー)」。
ウィーンの中心部にあり、観光客にも大人気。1905 年創業で、100年以上美味しいシュニッツェルを人々に供してきた歴史を持っている。
店内は2階もあり、かなり入り組んでいて複雑。しかし、明るくて落ち着きがある清潔感のある店だ。
メニューを見ると、この店のシュニッツェルは3種類である。
店の名前を冠した「Figlmüller-Schnitzel」は豚肉で、子牛肉の「Wiener Schnitzel」と鶏肉のシュニッツェルもある。どれも試してみたかったので1つずつ注文してみた。
ウェイターが3つの皿を持ってきた時の驚き。薄いのだが、皿からはみ出したその大きさには思わず笑いが出てしまった。
サッとレモンをかけて頂く。
さっくりと焼き上げられていて脂っぽさや重さはない。意外にも量が食べられる。
「Figlmüller-Schnitzel」はふくよかな旨味があって、ビールに合う。3つの中で一番巨大だ。
「Wiener Schnitzel」もお勧め。サクサクとした衣の中に、やわらかな肉。クセのない美味しさで次々と食べ進んでしまう。
そして鶏肉はあっさりしていて食べやすく、味付けも日本人好み。女性も食べやすいだろう。
万が一食べ残した場合は、お持ち帰りにしてもらう事も出来る。
身体の大きなウェイターたちが、巨大なプラッターを高く掲げて楽しそうにシュニッツェルをテーブルへと運んでいく。
皆とても気さくで親切でもあり、客と冗談を飛ばすようなアットホームで素敵な時間を与えてくれる。
いつでも並んでいるような店ではあるが「ゆっくり楽しんで味わって欲しい」という、客を慌てさせないもてなしも嬉しい。
それが人気店であり続ける秘訣なのだろう。また行きたくなる、素敵な店だった。
(田原昌)