中世の時が流れる世界遺産の街・チェコ「クトナーホラ」の優美と不思議を訪ねる

チェコのほぼ中央に位置する街、Kutná Hora(クトナーホラ)。

今や静かでどことなく寂しさを感じる街だが、13世紀末にはヨーロッパ全体における銀の1/3を採掘し、プラハに次ぐ第2の都市として栄えた街である。

鉱山を中心に街が発展したものの、16世紀には衰退し、1991年にすべての鉱山が閉鎖してしまった。しかし、その繁栄ぶりは教会を訪ねることで、今でも感じることができる。

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観光の中心地は世界遺産に指定されているため、古い石畳の道が広がっている。店や家も街の雰囲気に合わせてつくられており、中世ヨーロッパを散歩している気分だ。

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いちばんの見所は、高台に位置する「Chrám sv. Barbory(聖バルボラ教会)」。

刺々しく見えるゴシック様式の巨大な教会は、プラハ城内の聖ビート大聖堂に対抗して造られたといい、両者はとてもよく似ている。当時のクトナーホラは銀がもたらした豊かさゆえに、すべてにおいてプラハと対抗していた。

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細長く、広い空間に圧倒されてしまう。窓にはめられたステンドグラスは実に見事で、神聖ローマ皇帝フランツ・ヨーゼフ2世のクトナーホラ訪問を描いている。

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高い天井を見上げると、不思議な造りに気付く。種類の違う2つの天井を途中で組み合せているのだが、これは2人の建築家によって異なるアーチを建造したためだ。細かい網のようなアーチと花のように見えるアーチ、それに色とりどりのエンブレムを描いており実に優美だ。

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中心部を離れたセドレツには、13世紀に建築されたチェコで最も大きな教会「Katedrála Nanebevzetí Panny Marie(聖母マリア修道院教会)」があり、近くには「Kostnice v Sedlcí(セドレツ納骨堂)」がある。

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納骨堂は観光の目玉なのだが、目の前に広がる光景に足がすくむ人がいるかもしれない。

実は、エルサレムの聖墓の土を撒いた場所だということで世界各地から納骨する者が集まり、内部のシャンデリアから装飾品、エンブレムまで人骨でできているという驚きの地下世界なのだ。

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現在は小さくまとまった静かな街だが、往年の繁栄を各所で見ることができる。プラハとは違った中世の緩やかな時間が流れている街だった。

(田原昌)