歌川広重や歌川豊国作品も展示。“隅田川”に光を当てた「隅田川-江戸時代の都市風景」展が日比谷で開催

東京都江戸東京博物館が今年4月より、大規模改修工事実施のために長い休館期間に入った。

そこで同館では、休館中の館外展示として、7月7日(金)から千代田区立日比谷図書文化館にて「隅田川-江戸時代の都市風景」を開催。江戸の人々から名所として深く愛されてきた隅田川にスポットを当てた展示を行う。

歌川国虎「江戸両国橋夕涼大花火之図」 文化~天保頃(1804~1843) 東京都江戸東京博物館蔵

歌川国虎「江戸両国橋夕涼大花火之図」文化~天保頃(1804~1843) 東京都江戸東京博物館蔵

「隅田川」にフォーカスした展示イベントが開催

東京都江戸東京博物館は昨年9月、ソウル歴史博物館と共同で国際交流展「隅田川-江戸時代の都市風景」を開催。この交流展は多くの人々の好評のうちに幕を閉じた。

7月の「隅田川-江戸時代の都市風景」では、この国際交流展をコンパクトにまとめ、隅田川の魅力をより丁寧に解説。江戸の人から輸送の大動脈として親しまれてきた隅田川について、同館の収蔵品をもとに4構成で紹介する。

“隅田川にまつわる3つの物語”をプロローグとして紹介

江戸市中を流れるもっとも大きな川であった隅田川は、輸送に欠かせない存在であると同時に、川自体が名所として、あるいは河岸域に江戸の名所を数多く抱えた川として愛されてきた。

プロローグではまず、隅田川に関わる3つの物語について紹介する。

「第1章 隅田川を眺める」で絵画の見どころを探る

高い建物などなかった江戸時代、橋の上や舟から見晴らすと、遠景には富士山と筑波山を望み、近景には川岸の有名な社寺の建造物を眺めることができた。

「隅田川風物図巻」(複製・部分)影からくり絵 18世紀中頃 東京都江戸東京博物館蔵

「隅田川風物図巻」(複製・部分)影からくり絵 18世紀中頃 東京都江戸東京博物館蔵

隅田川を描いた絵画においては、美しさだけではなく生活と密接にかかわる名所が散見されるところも見どころといえる。1章では、隅田川の光景がどのような切り口で描かれているかについて解説する。

季節が感じられる「第2章 隅田川の風物詩」

江戸の人々は、四季の移り変わりに心を寄せ、春の花見、夏の涼み船、秋の月見、紅葉狩り、冬の雪見といった行楽や、寺社の祭礼、雛祭り、七夕などの年中行事に親しんでいた。隅田川周辺の名所にも、季節感あふれる作例が見られる。

橋本貞秀「東都両国ばし夏景色」 安政6年(1859)東京都江戸東京博物館蔵

橋本貞秀「東都両国ばし夏景色」安政6年(1859)東京都江戸東京博物館蔵

2章では、さまざまな季節を盛り込んだ隅田川の名所を描いた絵画を紹介する。

明治以降の隅田川の姿を追って終幕

江戸幕府が終焉を迎え、時代が明治に変わると、隅田川にも大きな変化が訪れた。

1923年の関東大震災とその後の近代都市復興計画によって、隅田川には復興橋と呼ばれる橋が次々と架けられ、隅田川の景観そのものも大きく変わった。現在もなお隅田川に架かる復興橋の美しい姿は、東京風景を語る上で欠くことのできない存在だ。

織田一磨「隅田公園」昭和5年(1930)東京都江戸東京博物館蔵

織田一磨「隅田公園」昭和5年(1930)東京都江戸東京博物館蔵

同展は、こうした現代の隅田川の姿に焦点を当てた展示で幕を下ろす。

なお、同展では会場となる千代田区の貴重な文化財である紀伊国屋三谷家コレクションより、2代目・歌川広重や3代目・歌川豊国が手掛けた作品も展示する。この機会に、都市江戸の象徴の一つである隅田川の多彩な世界を堪能してみては。

隅田川-江戸時代の都市風景
会期:7月7日(金)~8月6日(日)※7月17日(月・祝)は休館
時間:
[月~木]10時30分~19時
[金]10時30分~20時
[土]10時30分~18時30分
[日]10時30分~16時30分 ※入室は閉室の30分前まで
会場:千代田区立日比谷図書文化館 1階特別展示室
所在地:東京都千代田区日比谷公園1-4
観覧料:無料

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000481.000038211.html

(IKKI)