古木に宿る壮大な生命力に魅入られて、独創的な表現を追求し続ける日本画家の菅原健彦氏。3年ぶりに、同氏の4度目の個展となる「菅原健彦展」が東京・銀座にて2月25日(土)から開催される。
同展では、青森県・白神山地にある十二湖の一つである「青池」や、鹿児島県・屋久島の自然を新たな主題に加えた新作など約40点を展示する。
ギャルリーためなが東京店にて「菅原健彦展」が開催
菅原氏は、1996年に山梨県にある樹齢千年を超える神代桜を描いたことから始まり、三春や淡墨桜、臥龍の松などを題材に作品を描き続けてきた。彼の作品の共通点は、自然界の強靭なエネルギーと出会った衝撃、感銘といったインスピレーションをもとに、新たなアートを創造すること。
大学時代に日本画を学んだ菅原氏だが、彼の表現方法は多岐にわたる。越前の手すき和紙の裏から墨をにじませ、砂状の岩絵具を振りかけた上から水を含んだ筆を走らせその筆勢を樹形に見立てたり、日本で最も古い墨として知られる松煙で樹皮を思わせるひび割れを生み出したりと、作品からは伝統の型にはまらない技法が光る。
生命のダイナミズムとその神秘性への賛美が込められた画中は、力強さを放ちながらも、どこか繊細な美しさが響いてくる。
今回の個展で披露される新作も、紺色の雁皮紙を用いた作品や、プラチナ箔に乗せた青のコントラストが美しい作品が加わり、よりいっそう菅原作品の深みや清澄さを際立たせている。
世界の舞台へ躍進する菅原健彦氏
菅原氏は、1962年に東京で生まれた人物。多摩美術大学にて日本画を学び、前述の通り1996年に山梨で樹齢千年を超える神代桜との運命的な出会いを果たす。菅原芸術の扉が開かれたのはこの時だ。
菅原氏は古木の幹から放たれる、生々流転する生命のダイナミズムに衝撃を受け、以来、その生命力を極めて独創的な表現で描くようになる。
現在では淡墨桜や滝桜、臥龍の松、霧降の滝など、幅広い題材で作品を制作。日本画の伝統技法を用いながらも新たな表現方法を常に探求し、壮麗な世界を築いている。
2012年、菅原氏はパリにて開催された個展の成功を皮切りに世界の舞台へと躍進。シンフォニーホールのエントランスをはじめ、世界有数のホテルや公共施設の壁面を豊かな生命の息吹で飾っている。
自然に対する畏敬の念や美しさを称えた、壮麗な菅原作品。この機会にその新作を銀座で目にしては。
菅原健彦展
会期:2月25日(土)〜3月19日(日)
会場:ギャルリーためなが 東京店
所在地:東京都中央区銀座7-5-4
開廊時間:月〜土11時〜19時、日・祝11時〜17時
ギャルリーためなが公式WEBページ:https://www.tamenaga.com/ja/
(IKKI)