1971年に大阪で創業した「土居珈琲」は、大量生産ではない手仕事での焙煎と、高い技術で生産される世界各地の良質な生豆にこだわる珈琲店だ。
昨年12月、同店が50年以上の歴史があるパプアニューギニアの「バロイダ農園」で生産された個性的な生豆「パプアニューギニア バロイダ農園 ハニーロット」を発売した。
同店だからこそ引き出せる、豆本来の個性をいかした独特な味わいを楽しみたい。
土居珈琲が大切にする“小さな焙煎”
土居珈琲は、半世紀以上にわたって“量ではなく、質にこだわる”コーヒーづくりを追求してきた。
大量生産や効率重視で、価格を抑えて競争力を高める一般的な手法ではなく、小さな焙煎釜で少量ずつ豆を焙煎。豆の状態に応じて最適な焙煎度合いに仕上げることで、豆本来の特長をいかした味わいや風味、香りを引き出す。
「“小さな焙煎”で仕上げるにふさわしい生豆は、大量生産されたものではなく、人の手仕事によってつくり出されたものでなければならない」──創業者である土居博司氏はそう考えた。
その考え方を受け継いで豆の品質にもこだわり、世界各地の高い農業技術をもつ生産者から生豆を買い付けている。
「バロイダ農園」で生まれたコーヒー豆を焙煎
今回、同店が“小さな焙煎”を行うべく選んだのは、パプアニューギニアで50年以上つづく「バロイダ農園」で生産されるコーヒー豆。
一家三世代で営むバロイダ農園では、“市場で売れやすいコーヒー”ではなく“自分たちの農園でしかつくれないコーヒー”を手掛けている。
「ハニー製法」により強い個性のある豆に
摘み取ったコーヒーの果実(コーヒーチェリー)から生豆を取り出す作業を「精製」と呼ぶ。この方法は産地国によって異なるが、近年開発された比較的新しい方法が「ハニー製法」だ。
果肉を取り除いた際、生豆の表面には「ミューシレージ」と呼ばれる粘液質がついている。ミューシレージがついたまま長く時間が経過すると、豆がダメージを受ける。そのため、通常は生豆を乾燥させる前にミューシレージを取り除く。
しかし、「ハニー製法」では、果肉の風味をコーヒー豆に残すため、ミューシレージをあえて残したまま生豆を乾燥させる。だが、この手法でつくり出したコーヒーはクセが強く、一般にはあまり喜ばれないという。
深煎りにすれば、角をとって丸く無難な味わいに仕上げることもできるが、それは土井珈琲のモットーとする“小さな焙煎”とは離れたものとなってしまう。
そのため今回は、生豆に応じた焙煎で強い個性を活かしてクランベリー、レーズンと共に、メルローの赤ワインのような香りを感じる、他にはない一杯に仕上げた。
なお、土井珈琲では注文後に焙煎を行うため、好みの「焙煎度合い」「(粗挽きや細挽きといった)豆の状態」を選択することも可能だ。
大量生産ではないからこそできる上質なコーヒーの味を、自宅で楽しみたい。
パプアニューギニア バロイダ農園 ハニーロット
価格:200g/4,893円、100g/2,691円(共に税込)
販売ページ:https://www.doicoffee.com/info.cgi?into_pr_091_12_29_2022
(IKKI)