「FEEL KIYOMIZUDERA(フィール キヨミズデラ)」は、言葉や人種、文化などあらゆる垣根を超えた表現を元に、祈りに対する新たな解釈と視点を発信する京都・清水寺のプロジェクトだ。
同プロジェクトでは、6月25日(土)から7月10日(日)の期間、映像作家・写真家の柿本ケンサク氏の写真展「柿本ケンサク写真展-TIME-音羽山清水寺 Collaboration with Luke Bubb, Piotr Stopniak」を開催する。
映像作家・写真家として活動する柿本ケンサク氏
柿本ケンサク氏は、映像作家として多くの映像作品を生み出すとともに、広告写真・アーティストポートレートをはじめとして写真家としても活動している。
記憶に新しい映像作品は、2021年の大河ドラマ「青天を衝け」のメインビジュアル・タイトルバックの演出。同年、監督を手掛けた映画「恋する寄生虫」が公開され、今年はNHK「星新一の不思議な不思議な短編ドラマ」の放映が決定している。
また、柿本氏は、現代美術家として多くの写真作品を国内外で発表している。2017年にニューヨークのタカ・イシイギャラリーにて「HYOMEN」展、2021年には代官山ヒルサイドフォーラムにて「TRANSFORMATION」展、渋谷PARCO GALLERY Xにて「時をかける」展を開催。国際美術展「水の波紋2021」に選出された。
「今この一瞬を生きている」という概念を写真で表現
今回、柿本氏が写真展を行う音羽山清水寺は、古来より庶民に開かれた観音霊場であり、学問と芸術の交流地点でもあった寺院だ。
開創から1200年という長い歴史を経て、今もなお普遍的な祈りの場であるこの名刹で、柿本氏は、時間をテーマに「今この一瞬を生きている」という概念を表現する。
本写真展では、大宇宙を数千万年旅した光や時間を一枚のフィルムに閉じ込めた新シリーズ「TIME」や、清水寺のご本尊「十一面千手観音菩薩」をモチーフとする新シリーズ「KAN-NON」を発表。
こうした作品は、京都屈指の夕陽の名所である清水寺西門(重要文化財)を舞台に制作された。
西門に注ぎ込む極楽浄土を表す夕陽を、あらかじめ撮影した写真に透かし、再び撮影することで作品を完成させている。また、昨年発表し話題を呼んだAI現像シリーズ「Time Tunnel」をさらに発展させた新シリーズ「Sky Tunnel」も発表する。
柿本氏は、「永久の時の中で、『今この一瞬をいきている』という概念を表現したい。この世界が誕生して以来、膨らみ続けるこの宇宙と膨大な情報。そのすべては、『時間』の中に収まっています。溢れかえった豊かさという情報群に揺らぎ、惑わされて、自らが気付かない間に見えなくなってしまいます。今、私たちは、『豊かさ』を削ぎ落とし、本当に『大切なこと』を抽出する必要があるように思います。それは自分自身を一度、分解し、極小から、再構築する作業です。表面解像度を落とし、心の解像度を高め、答えを導き出すのではなく、選択肢を広げる作品を制作しました」と語る。
今回の写真展に出展する、永久の光を閉じ込めた作品群を通して、柿本氏は清水寺に新たな祈りの場を創出する。京都を訪れ、実際に作品を体感してみてはいかがだろう。
柿本ケンサク写真展-TIME-音羽山清水寺 Collaboration with Luke Bubb, Piotr Stopniak
期間:6月25日(土)13:00 〜7月10日(日)10時~17時半 (6月30日まで・7月1日以降は18時まで)
会場:音羽山清水寺
所在地:京都府京都市東山区清水1-294
イベント詳細ページ:https://feel.kiyomizudera.or.jp/
柿本ケンサク氏公式サイト:https://kensakukakimoto.com/
(高野晃彰)