ポルシェのコレクターである男の人生は、生きる上でのヒントが詰まっている。
■アメリカンドリームを体現した男
東洋館出版社は、ポルシェ911のコレクターとして映画にもなった、伝説のポルシェ収集家で実業家でもあるマグナス・ウォーカー氏の自伝『URBAN OUTLAW』を11月29日に刊行する。
1967年にイギリスの労働者階級の街、シェフィールドに生を受けたマグナス。初めてポルシェを見たのは父親に連れられて訪れたモーターショーだった。一眼でポルシェに魅せられるも、自分の手に入れるなんて夢また夢。
ロックとファッションが大好きなティーンエイジャーとして破天荒な日々を暮らしながら19歳のころ渡米。
渡米後始めた仕事が、ジーンズの販売。リサイクルショップやヤードセールで買ってきた大量のジーンズに独自にパッチワークを施したものをベニスビーチの露店で販売したところ、これが当たる。自分が楽しい、面白いと思ったものを実行に移した結果だった。
この店はいずれアパレルメーカー「シリアス」として発展し、マドンナ、アリス・クーパー、ブルース・ウィリスが愛用するまでになる。
「シリアス」の倉庫兼、住居はマグナスのこだわりが反映された極めて個性的な建物で、これが映画会社の目に留まり、次なるビジネス「ロケ地貸出業」がスタート。ここでもマグナスは心の声に従いビジネスを拡大させ、まさにアメリカンドリームを地で行く成功を収める。
■マグナムが改造するポルシェは高値がつく
マグナスが初めてポルシェを購入したのは1992年、25歳の時。子どもの頃に心奪われた911だ。
それからポルシェ蒐集が始まる。集めたポルシェは、25年間で約50台超に及ぶ。彼は、レースに出るために廃車寸前のポルシェを自分好みのポルシェへと改造していった。
その車が、あまりにもクールで、世のポルシェコレクターの注目を集め、今では、彼が改造したポルシェは、30万ドル以上の値が付いている。
マグナスの成功は偶然ではない。日々の暮らしの中で偶発的に起こる事の中に転がっているチャンスを決して見逃さない。そしてその場で即判断を下し、実行に移す。人への気遣いも忘れない。マグナスの成功は必然と言える。
■心の声に従って選択し全力でのめり込む
マグナスは何か新しいことをするときにいつもこう言う、「大丈夫だ、失敗しても死にはしない」。
常に心の声に従って面白いと思ったものに全力でのめり込んでゆく、人間の想いの強さというものをここまで感じさせる人はいない。
本書ではシェフィールド出身の英国人、マグナス・ウォーカーの生きざまを1970年代~90年代のPOPカルチャ―をからめてフォーカスする。
もちろん、彼が人生を一変させるほど夢中になったポルシェ911の魅力も存分に詰まっている。
人生の選択で迷いがちな人には、特に発見が多い一冊になりそうだ。
URBAN OUTLAW
著者:マグナス・ウォーカー
翻訳者:小林 玲子
価格:2,420円
発行元:東洋館出版社
詳細:https://toyokanbooks.com/products/urban-outlaw
(冨田格)