時を超えて魂を揺さぶる作品たち。「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」開催中

世界で唯一のキース・ヘリングの美術館である「中村キース・ヘリング美術館」。

山梨・小淵沢にある同美術館は、4月6日(日)までの期間、茨城県近代美術館で開催されている「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」の監修および約140点の作品を出品している。

キース・ヘリングの作品150点が全国6都市を巡る

「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」は、総作品数約150点で構成されている。キース・ヘリングがアーティストとして活動した約10年間の全容を知る展覧会だ。

同展覧会はこれまでに、東京都・兵庫県・福岡県・愛知県・静岡県の5会場を巡回し、現在開催中の茨城県近代美術館を最終会場として巡回展を終了する。

All Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation

「アートはみんなのために」ヘリングが託す未来

明るく、ポップなイメージで世界中から愛されているキース・ヘリング。

ヘリングは「アートはみんなのために」という信念のもと、1980年代のニューヨークで地下鉄駅構内やストリートに絵を描いた。つまり日常にアートを拡散させることで、混沌とする社会への強いメッセージを発信し、人類の未来と希望を子どもたちに託したのだ。

ヘリングが駆け抜けた31年間の生涯のうち、創作活動期間は10年程度。だが、残された作品に込められたメッセージは、いまもなお現代人の心に響き続ける。

同展覧会は、幅6メートルに及ぶ大型作品や日本初公開を含む約150点の作品を通して、ヘリングのアートを体感する貴重な機会だ。

社会に潜む暴力や不平等、HIV・エイズに対する偏見と支援不足に対して最後まで闘い続けたヘリングのアート。時空を超えて現代社会に生きる人々の魂を揺さぶるだろう。

1980年代の雰囲気を伝える「サブウェイ・ドローイング」

本展の見どころは、キース・ヘリングの名前を世界に広く知らしめた「サブウェイ・ドローイング」プロジェクト作品の7点の公開だ。「中村キース・ヘリング美術館」所蔵の『無題(サブウェイ・ドローイング)』2点に加え、ニューヨークから出品された5点は、今回の巡回展で日本初公開となる。

「サブウェイ・ドローイング」プロジェクトによって描かれた作品は、コミカルで明るい表現から社会への風刺を感じさせるダークな表現まで、実に多彩な作風であった。

現代よりも犯罪が多発していた1980年代当時のニューヨークが浮き彫りになるよう、ヘリングが徐々に作品を仕上げていく様子を含め臨場感にあふれた展示を実施。日本初公開の作品は、ヘリングの絵の上に地下鉄利用者によって描かれた落書きや、ドローイングが剥がされた痕跡など、当時の社会を生々しく伝えてくれる。

同美術館の収蔵作品とニューヨークからの個人所蔵のサブウェイドローイングを、同時に鑑賞できる貴重な機会も最後のチャンス。日に日に暖かさが増すこの時期、外出するなら同展示にも足を運び、心に浮かぶ感情を見つめてみてはいかがだろうか。

「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」公式サイト:https://kh2023-25.exhibit.jp

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000022359.html

(みくと)